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カエル独唱

オタマジャクシは不揃いの
しっぽを揺らしてエラ呼吸
水を吸い込み吐き出せば
頭ばっかりデカくなり
どうにも近頃重過ぎる

泳ぎも疲れて倦怠期
死ぬまでオイラは水中か
共に生まれた兄弟に
人生具合を尋ねたら
カエルの歌なる言い伝え

脚を生やせば良いらしい
腕も付けたら尚の事
見事に手足が出来たなら
みるみるしっぽは消えるとな
挙句は空をも跳べるとな

そんなアホなとしっぽ振り
結局年中泳ぐのだ
尋ねたオイラがアホだった
しっぽが消えたら死んじまう
空を跳ぶなど恐ろしや

頭上に波紋のシンメトリー
水草飛び出た水面を
見上げるオイラをひと跨ぎ
ぴょんことカエルが空を跳び
ケロロンクルルと歌い出す

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール