一人のベッド
旅先には
知人も居なければ
馴染みの酒場もない
ここいらの人間も
どうやらみんな
マスクで口元を
すっかり隠しているから
僕の居たところと
どうにも同じに見える
けれど言葉を聞けば
発音やら音程やら
上手く例える表現が
見当たらない程
めっぽう異なっていて
楽しい気分にもなるけれど
宿には待つ人も居ないから
僕は服を脱ぎ散らかして
一人のベッドを埋める
なんだか
早く帰りたいな
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール