チンチン街
幅員がやけに広く
真っ直ぐなだけの
目抜き通りでは
誰もが行き違うから
反対車線の裏通り
待ち合わせの定位置
全身包帯の街路樹
ガラスが多用された
透明感のあるショップ
早朝下ろしたての
白々しい白い手袋に
ダークな襟首がチラリ
純情通りの朴訥が
三日にあげず
通い詰めたようだ
街のウワサは
みんな知っている
知らない奴はモグリ
それからすぐにでも
また別のスキャンダル
いろんな連中が
方々から集まって来て
まるで地下のカリスマ
スプレー缶のアート
この街に住人はいない
何処からともなく現れては
知らない間に消息不明
あぶれた命の吹き溜まり
すぐに忘れ去られるから
この街に悲しみもない
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール