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嘘をついても本当です

案外記憶も頼りない
思い込むほど変化して
恣意的言語の額縁が
歪な景色を切り分ける
街道沿いの夕焼けも
全部真っ赤な信号も
真実だったかどうかなど
まるで問題じゃないように
自分の嘘を守ろうと
向き合わないのは利己心で
標榜するのは正直さ
愛と優しさ声高く
美化した想いと物語
泥の炎に焼べながら
浮かび上った表情と
揺らめき続ける陽炎に
跨る心の焦げ臭さ
消せない匂いと生きるのか
丸ごと燃やして消えるのか
せめて末期の決断は
真実ばかりを願いたい

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール