明日は雨かな
夜になっても
ぬるい風が
首筋や喉元に
まとわりついて
ネックウォーマーに
湿気がこもるから
溜息を落としながら
車に逃げ込んで
ダッシュボードに
脱ぎ捨てたら
心地良い涼しさに似た
身軽さの束の間
もう冬も終わりだよって
雨の匂いが
小さく呟きながら
後部座席に座り込んで
話しかけてくる
ルームミラー越しの
暗がりに目を細め
そうかもななんて
適当な返事をしながら
エンジンをかける
それにしても
今日は風が強くって
ケチくさいだけの
苛立ちにまみれて
吹きっ晒しだったんだ
夢にまで見ちまうくらい
まるでバカバカしいこった
やり場のない奔放
閉じ込めた旋律
独白の訴え
そんなもの達を
雨の匂いが
後部座席で笑うから
つられてこっちも笑ってら
だから明日の朝まで
お前ここにいろよって
なんだかついつい
優しくなっちまうんだよな
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール