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秋の調べは草の中

北極ポールが傾いて
氷河を砕いた月の弦

風を運んで弾いたら
一夜一夜の調律に

翅脈は音叉と共鳴し
花は最期の蜜の味

秋の調べは草の中
夜露に映した星の火に

見惚れる私のこれまでが
静かな寝息をたてるまで

拾った言葉の慰めを
重ねて織り込む子守唄

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール