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人生は美しいものだ

寒い寒いと半袖の
老婆は裸足でドアを開け
他人の家に上がり込む

自分の記憶の虫喰いに
気付く悲哀と絶望を
飲み込む救いは忘却で

自分を失うくらいなら
死ぬしかないと嘆いても
はたしてそれは尊厳か

御免御免と言いながら
故郷の訛りの懐かしさ
忘れ難きは愛しさよ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール