髭
じいさん白いチョビ髭で
風呂場でカミソリ手に持って
時々血を出す風呂上がり
おやじは濃いめの髭もじゃで
年に数回スッキリと
剃るけど誰も気も付かず
僕はペーペー一市民
髭を剃るのがお似合いの
思想を持たない哲学者
お陰で何時も伸びてくる
髭を剃る度よみがえる
二人の髭とあの頃が
少しくらいは話せたら
今の暮らしと僕のこと
なんなら髭でも伸ばそうか
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール