エンチャントメント
寒い寒い夜
焚き火のゆらめき
吸い込まれる歌声
彼女の横顔
ほんのり高揚した
頬は美しさの証明
足元に横たう犬
黒い体毛に流れる光は
止まる事のない命
ゆるやかに刻む
呼吸の抑揚と体温に
無意識に添える右の手
木々の頭を撫でながら
唐突に吹き過ぎる風は
愛しき過去の行進
ほら未来が追いかけている
月はそれを眺めているから
想いを捧げる今
耳元に還る歌声
パチパチと鳴いた炎
寒い寒い夜
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール