とんび
トンビの影に飛び乗って
山の斜面の上澄を
こそげるように滑空し
マムシの苺が咲く谷間
風が底から突き上げて
みるみる地上は胡麻粒に
私は青に包まれる
ピョーロリピョローリ
ルラルルル
ピョーロリピョローリ
ルラルルル
トンビの影に飛び降りて
空の真中の真空を
突き刺すように疾走し
黄色い帽子のランドセル
どんぐり眼をすり抜けて
みんなが振り向くその刹那
私の姿は消え失せる
ピョーロリピョローリ
ルラルルル
ピョーロリピョローリ
ルラルルル
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール