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カンザシ

黒髪結えて髪飾り
直ぐなる色香の潔さ
町屋の女が歩いたら
荷馬車も流し目立ち止まる

若さは無償の輝きで
撓る柳にもたれ掛け
憂いが睫毛に絡み付き
潤んだ唇慰める

人を知らない眼差しに
恋する瞳が心葉を
捲る景色に誘って
命ひとつも惜しまない

生きることは悲しいわ
二度とは戻れぬ道を往き
後悔しないと約束し
岸辺に落ちた髪飾り

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール