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風が背中を押すけれど

桜の花は満開で
ちょうどその頃雨が降る
横断歩道の信号が
点滅しようが走らない
風が背中を押すけれど

乗客不在のバス右折
ツバメの声が道案内
向かいの花屋のナデシコと
目と目が合ってもそれっきり
風が背中を押すけれど

見上げた空にはお日様が
雲の波間に落ちていて
浜辺に流れた貝殻を
集めて見せたい人は何処
風が背中を押すけれど

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール