見出し画像

将来の嘘

一体何処へ行こうとしているのか
こんなはずではなかったんだと
夜な夜なボヤき合う言葉の軌跡

将来の夢は反対車線を通り過ぎ
全くお門違いの門前の小僧
覚えた念仏を呪文みたいに繰り返す

なりたい物が見つかったなら
ありとあらゆる自らを焼べ
どれだけの炎が立ち上がるものか

人生の大半を好色な夢想に明け渡し
年老いた変質者に同情を禁じ得ず
吾も似た類であると匿名の申告をする

挨拶代わりに舌打ちをしながら
触れ合うだけの慰安に苛立つばかり
幼稚園の卒園文集に記した将来の嘘 

そいつが未だに吾を取り繕っている

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール