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カミキレ

お水をこぼしたから
布巾で床を拭いていたら
棚の下の奥の方から
古い紙切れが出てきた
次から次に飛び出して来る
埃にまみれたその姿
ずいぶん上手く隠れたものだ

絵が描いてあるものや
文字やら数字やらが
どうにも意味深げに
記されていたかと思えば
創作折り紙みたいに
何度も折り込まれたものとか
同じ紙切れなのに雑多なものだ

大切にしていたような
だのにいつの間にやら
ケロッと忘れていたりして
思い出す事なんて
これっぽっちも無かった
今を閉じ込めた不用品
どういうわけだか手が止まるものだ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール