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地を這うもの

空がどこまで続くのか
そんなことは知らないし
そもそも空なんて見ないんだ
枯れて積もった草の下や
重たいばかりの石の下
そういう場所が心地良い
なるべく見つからないように
息を潜める事が当然で
短命の好奇心から
追い回されるくらいなら
理由も無く毛嫌いされている方が
自由気ままに生きていける
だからと言って私には
愛や優しさがないって事でもない
それなりに毎日を精一杯
生きることに費やしているんだ
今日は暖かいんだよな
近頃随分冷え込んでいたもんだから
ついつい気持ちも浮かれて
寝ぐらの石の上に登ったりして
うつらうつらのんびりしていたんだ
それがいけなかった
風がぴゅるぴゅるぴゅと鳴いちゃって
初めて聴いたような声だから
心地良いまんま目を開けたら
地面が遠く遠く離れていた
そういった時ってのは
反射的に足掻きもするんだけど
瞬時に運命を悟るもんだ
わかるだろう
空はどこまでも続いているんだなって
最後にそう思ったんだ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール