下北鉄道
恐山には風車
静かな水面を眺めては
廃止路線と無人駅
六文銭の一人旅
夢となるのが日常か
旅人だらけの地獄には
人生懐古も似合わない
青森育ちの友人が
ぽそりと一度言ったきり
絵筆を無心に走らせて
まるであの世の住人が
こちらを伺い笑ってら
金も稼げぬ絵描きには
この世の風は辛かろう
だから毎晩飲み歩き
悪態ばかりを共に吐き
俺より長く生きている
木の根を枕に転がって
朝になったら一人きり
互いに孤独を粋がった
実りを持たない熱情に
憑かれた季節を青春と
呼ぶにはあまりに滑稽で
思い出す気もしないけど
今でも絵筆を持つのなら
変わらず腐って生きてろよ
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール