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散華の拳

一介の学徒である私が
万歳三唱で鼓舞され
否応なしに趣く先には
一体喜ぶべき事など
誰があろうと証明できる

母も妹も泣いていたのだ
私は涙さえ見せられない
爪を立てて握りしめた拳
それが望まれる規範であり
脅迫と同義の教育の賜物だ

私は恐らくもう二度と
この地を歩く事はないだろう
私は殆ど何も知る事もなく
花でも無いのに花と散る
花も咲かせず花と散る

野や山に
小さな色を
見つけたら
どうぞ優しく
君の瞳を

どうぞ愛しく
君の瞳を

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール