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戦場を走る戦車以外のクルマ

 キャタピラで走っていて砲塔(大砲)が付いていたら戦車。深緑(最近は薄茶も)に塗られてにょきっと大砲が突き出している市中では見慣れない車両を見れば、そういう方面に疎い人は誰しも「戦車だ!」というだろう。

先頭を走るのがアメリカ陸軍のM1エイブラムス主力戦車。十分な装甲防御が施され、大口径の戦車砲を備え、障害物に隠れやすいよう後続の車両群よりも一回り背が低い。
引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tanks_DVIDS366681.jpg

 当たらずと言えども遠からずだが、戦場を走るクルマは全部が戦車ではなく、細かくカテゴライズされている。一つの記事ですべては網羅できないが、代表的なところを見ていこう。

装軌(そうき)式と装輪式

 その前に、この大きな二つの違い(用語)を知っておかなければならない。装輪式とは車両の走行システムがタイヤ式という事であり、装軌式とは履帯または無限軌道、いわゆるキャタピラで走るタイプの車両、という事になる。「キャタピラ」は一企業の登録商標でもありヘビー層から怒られる事があるので、ビギナー向けではないがここからは「装軌式」と書く事にする。
 戦闘車両がタイヤというのは、装軌式に比べるといかにも安普請な感じがするが装輪式は装輪式で大きな利点があり、廃れるどころか使い道によっては装軌式を置き換える勢いさえある。

 装輪式の利点は、なんと言っても軽くて安い。橋とか軟弱地盤とか気にせず走り回れる(むろん装軌式には劣るが)。装軌式より調達しやすいのでたくさん数を揃えられる。装軌式に比べたら防御力は低いが、タイヤの数を増やして6輪や8輪にすれば1個や2個(被弾などで)パンクしても走行不能にはならず、また軍用車両ならランフラットタイヤといって穴が開いてもすぐにはしぼまないタイヤの装備が当たり前なので、外れたらお終いの装軌式に比べると意外と被弾には強かったりする。
 十分に軽ければ輸送機からの空中投下もできたりする。地味なところではドライバーを慣熟させるのがラク、というのがある。乗用車やトラックと同じだから2日もみっちりやればモノにできるだろう。
 装軌式は見るからに接地面積が広いので、泥沼とか雪上とか装輪式では入れない軟弱な地形にも入っていける。タイヤより機構が強固なので機関銃が当たったくらいでは壊れない。林や平屋の木造民家ていどなら強引に踏みつぶしていく事も可能だ。


 ここからの各カテゴリごとの画像は、なるべく国際ニュースなどに現れる可能性が高いものを選んだため、米露の車両が多くなっている。

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