初任者研修にて。

初任者時代に書いた記事が出てきた。
2020年、当時は、コロナで全国一斉休校になり、子どもたちが全員学校に通えるようになったのは6月からだった。
そんな中で、初めての初任者研修は、リモートで行われた。
法令について、話されたことを自分で調べて丁寧にまとめているところは、私の生真面目さのなすところだろうか。
一方で、「最後に…」と記事の末尾に書いている研修内容と研修実施者のあり方の矛盾を指摘しているあたりは、ただの生真面目人間には止まらないところが出てしまっている気がする。
書いたのは数年前だけれども、若かったなぁというところと、変わらないなぁというところがある。
懐かしい。

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私は、今、東京都で教員をやっております。
臨採という一年契約の小学校教員を二年間(正確には二年間と半年)経験し、昨年度の教員採用試験に合格して、今年度から本採用の小学校教員(正規の教職員)になりました。
本採用の教員(正規の教職員)になった一年目には、1年次研修(初任者研修 ※以下、初任研と記載します。)があるのですが、現在、コロナウイルス感染症対策で、私の住んでいる地区では、教員の初任研が動画やオンラインを使用して行われています。
今回は、初任研を通して思ったことを書きます。
(なお、私の住んでいる市区町村が特定されないように、私の市区町村を指す場合は、(◯◯市区町村)と記載しました。)



初任研では、以下の内容を動画で学習した。

①教育公務員としての在り方。
②新任教員としての心構え。
③教員に求められる力。

そして、事前に上記の三本の動画を閲覧したうえで、zoomを活用したオンラインでの講義を受けた。

・Action!

講義は上記のタイトルの講義だった。
この記事で書きたいことの結論から言うと、私は、内容には、おおかた満足であったが(もう少し深めてほしいと思うところもあったが)、オンラインでのやり取りの中で違和感を覚えた。
そこで、今回の記事では、初任研の内容を解釈を加えながらまとめ、最後に、オンラインでのやり取りの中で覚えた違和感を書き加えて終えようと思う。

まずは、動画の内容について、自分で調べた内容を入れながら再構成してまとめてみよう。

①教育公務員としての在り方。
この動画では、以下、三つの項目に分けて話がされた。

(1)教職員の身分について
(2)服務について
(3)服務事故について

(1)教職員の身分についてでは、「あなた(教員)は都道府県の職員か、市区町村の職員か?」という趣旨の質問をもとに法令の説明が行われた。
(2)服務についてでは、地方公務員法第三十条(服務の根本基準)「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と第三十一条(服務の宣誓)「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」の説明が行われた。
(3)服務事故についてでは、三大服務事故(交通事故・個人情報の紛失・体罰や不適切な指導等)についての起こり得る問題についての説明が行われた。

(1)教職員の身分については、様々な法令を調べると、教育法規の複雑な構造が見えてきて興味深かったため、法令を記載しながら、もう少し丁寧に紹介する。
「あなた(教員)は都道府県の職員か、市区町村の職員か?」という趣旨の質問の答えは、「市区町村の職員である」が正解である。(なお、私は政令指定都市の学校に勤めているわけではない。政令指定都市の学校だと解答は変わってくる。)
その法的根拠をあげていきたい。

【地方自治法244条】
普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

地方自治法244条では、地方公共団体が住民の福祉のための施設を設置するとしている。つまり、市区町村の条例にもとづいて、市区町村が学校を設置するということである。
私の住んでいる市区町村の条例には、以下のような条例がある。

【(◯◯市区町村)立学校設置条例】
第1条
(◯◯市区町村)に学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に定める幼稚園、小学校、中学校及び中等教育学校(以下、学校という。)を設置する。

地方自治法244条を受けて、私の住んでいる市区町村はこのような条例をつくったものと考えられる。(動画では、地方自治法244条については説明されていなかったため、あくまで地方自治法244条と(◯◯市区町村)立学校設置条例の関連については私の推測に過ぎないが、おそらく、このような法的連関があると考えられる。)
なお、条例の条文にある学校教育法第1条とは、以下の通りである。

【学校教育法】
第一条
この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校ら高等学校、中等学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。(昭三六法一四四・昭三六法一六六・平一〇方一〇一・平一八法八〇・平一九法九六・平二七法四六・一部改正)

先にあげた(◯◯市区町村)の条例は、この学校教育法第一条であげられている学校はすべて、(◯◯市区町村)が設置すると言っているのである。
さらに、学校教育法第五条では、次のようなことが定められている。

【学校教育法】
第五条
学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

この学校教育法第五条が、「あなた(教員)は都道府県の職員か、市区町村の職員か?」という趣旨の質問の答えが、「市区町村の職員である」が正解であることの法的根拠である。
つまり、学校の設置者である市区町村は、

(a)設置した学校を管理すること
(b)法令に特別の定のある場合を除いて学校の経費を負担すること

を学校教育法第五条で義務づけられているのである。
そして、この義務を守っているのが市区町村であるために、教職員は、市区町村の職員として位置づけられるということになる。
論理を簡単に整理すると、以下の(1)(2)のようになる。

(1)学校の設置者は市区町村
地方自治法244条
↓市区町村で学校をつくるべし!
市区町村の条例
↓市区町村で学校を設置すると決定!
学校設置
⇒この時点で、学校の設置者は市区町村ということになる。

(2)学校の設置者が学校を管理・経費負担
学校教育法第五条
↓学校は設置者が管理・経費負担すべし!
市区町村
⇒この時点で、学校の設置者である市区町村が、学校の管理と経費負担をするということになる。

この(1)(2)から、教員は、都道府県の職員ではなく、市区町村の職員だということになるという。
つまり、ここまでの論理でいくと、以下の理由で、教員は市区町村の職員であるということになる。

(a)学校は、設置者である市区町村が管理しているから。
(b)学校は、設置者である市区町村が経費を負担しているから。

(a)(b)より、教員は市区町村の職員である。
ところが、他の法令が複雑に絡み合うことで、この問題はさらにややこしくなっている。
市町村立学校職員給与負担法第一条では、次のように定められている。

【市町村立学校職員給与負担法】
第一条
市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(次条において「指定都市」という。)を除き、特別区を含む。)町村立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の校長(中等教育学校の前期課程にあつては、当該課程こ属する中等教育学校の校長とする。)、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭、寄宿舎指導員、講師(常勤の者及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条の五第一項に規定する職員のうち栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭並びに栄養教諭以外の者をいい、同法第六条に規定する施設の該当職員を含む。以下同じ。)及び事務職員のうち次に掲げる職員であるものの給料、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、へき地手当(これに準ずる手当を含む。)、時間外勤務手当(学校栄養職員及び事務職員に係るものとする。)、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、義務教育等教員特別手当、寒冷地手当、特定任期付職員業績手当、退職手当、退職年金及び退職一時金並びに旅費(都道府県が定める支給に関する基準に適合するものに限る。)(以下「給与その他の給与」という。)並びに定時制通信教育手当(中等教育学校の校長に係るものとする。)並びに講師(公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号。以下「義務教育諸学校標準法」という。)第十七条第二項に規定する非常勤の講師に限る。)の報酬、職務を行うために要する費用の弁償及び期末手当(次条において「報酬等」という。)は、都道府県の負担とする。

但し書きが多くて大変読みにくいが、簡単に言えば、教員の給与は、都道府県が負担するということだ。
つまり、学校教育法第五条では、学校の経費は、法令に特別の定のある場合を除いて、設置者である市区町村が負担するということになっていたが、市町村立学校職員給与負担法という「法令の特別の定」によって、教員の給与は都道府県が負担するとなっているのだ。
さらに、義務教育費国庫負担法の第二条では、次のように定められている。

【義務教育費国庫負担法】
第二条
国は、毎年度、各都道府県ごとに、公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の小学部及び中学部(学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第六条に規定する施設を含むものとし、以下「義務教育学校」という。)に要する経費のうち、次に掲げるものについて、その実支出額の三分の一を負担する。ただし、特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。

具体的な内容については省略するが、つまり、学校の経費は、国が三分の一を負担しているということである。そして、この条文には直接に書かれていないが(そしてその法的根拠もどこにあるのかは調べた範囲では分からなかったが)、残りの三分の二は都道府県が負担している。
つまり、経費については、三分の一を国が、三分の二を都道府県が負担しているため、市区町村は負担していないということになる。
このように考えると、学校教育法第五条をもとに、

(a)学校は、設置者である市区町村が管理しているから。
(b)学校は、設置者である市区町村が経費を負担しているから。

(a)(b)より、教員は市区町村の職員である。

と考えてきたが、実質的に経費を負担しているのは国や都道府県であるから、教員が市区町村の職員である根拠は(a)のみということになる。(実質的には市区町村は経費を負担していないから、(b)は根拠として成立しなくなる。)
さらにいえば、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条では、次のように定められている。

【地方教育行政の組織及び運営に関する法律】
第三十七条
市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員」という。)の任命権は、都道府県委員会に属する。

つまり、教職員の任命権は都道府県の教育委員会にあるのだ。
ただし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十八条では、次のようにも定められている。

【地方教育行政の組織及び運営に関する法律】
第三十八条
都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまつて、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。

つまり、市区町村の教育委員会が申し出て、都道府県の教育委員会が任命するという仕組みになっているということである。

ここまでの話をまとめてみよう。

(a)市区町村は設置者として学校を管理している。
(b)ただし、学校の経費は国や都道府県が負担している。
(c)教員の任命権は都道府県の教育委員会にある。
(d)ただし、教員の任命を申し出ているのは市区町村の教育委員会である。

おそらく、「あなた(教員)は都道府県の職員か、市区町村の職員か?」という質問に対する答えが「市区町村の職員」であるとなる根拠として、(d)の教員の任命を申し出ているということは、あまり関係がないように思われる。なので、(a)の市区町村は設置として学校を管理しているということが、教員が市区町村の職員であることの根拠ということになるのだと考えられる。
しかし、ではなぜ、(a)が教員は市区町村の職員であるということの根拠になるのかと問われると定かではない。(動画でも、その関連づけの根拠についての説明はなされていなかった。)
たとえば、内田洋行教育総合研究所のブログ(https://www.manabinoba.com/edu_watch/10033.html 2020年5月7日閲覧)では、「『二つの顔』を持つ公立小・中学校教員という記事において、「公立小・中学校の教員の身分は所属する学校の設置者である市町村の職員だが、実際の採用・異動・処分などの教員の人事権は都道府県教委(政令指定都市教委を含む)が持っている。…中略…つまり公立小・中学校の教員には、形式的には市町村職員、実質的には都道府県職員という二つの顔がある。」と書かれている。
この記事の理解によれば、市区町村は学校の設置者であるから、教員は市区町村の職員であるということになる。ただし、実質的には都道府県職員という顔もあるということである。

長くなったが、以上のことが、①教育公務員としての在り方の動画を見つつ、さらに法令を調べて学習したことのまとめである。
ともあれ、動画からは、法令の説明をしてくださった先生の「(◯◯市区町村)の教員」として、大いに活躍してもらいたいという励ましが伝わってきた。
動画を見て、自分も「(◯◯市区町村)の教員」として頑張りたいという気持ちになった。
今回のオンラインでのやりとりの中で、この気持ちは裏切られることになるのだが、そのことについては後に触れよう。


②新任教員としての心構え。
二つ目の動画は、新任教員としての心構えについてだった。動画を見て重要だと思った点について重点的に書くため、その他の部分は箇条書きでまとめることとする。

・社会人として時間厳守を大切に。
・先生は子どもの大切な教育環境であるから明るく元気に過ごそう。
・自分からあいさつをしよう。
・TPOをわきまえた服装を心がけよう。
・電話は3回コールが鳴る前に出よう。
・適切な電話の応対の仕方を覚えよう。
・組織の一員としての自覚を持とう。
・わからないことはどんどん職場の先生に聞いてできるようになろう。
・報告、連絡、相談、記録を綿密にしよう。
・事務書類はなるべく早めに出そう。
・子どもと向き合い、子どもと関わることを大切にしよう。(一緒に遊んで、一緒に掃除をする。叱ることと褒めることができるようになろう。)
・どの子も認められる集団づくりをしよう。
・四者悟入(学者、医者、役者、易者としての側面)を大切に。
・保護者とともにつくっていこう。
・子どもをひいきをしない。(たとえば、片方の子には名字に「さん」づけで呼び、もう片方の子には名前に「ちゃん」づけで呼ぶというようなことをすると、子どもはえこひいきをされていることに敏感に反応する。)
・事故には迅速な対応を。
・地域の行事に参加を。
・教員としての使命感を持って取り組もう。
・報告書は、ファイルに入れて、一筆を書き、クリップで留めて提出しよう。
・報告書は、研修後12日以内に、できれば終わったらすぐ書こう。

このような内容だった。
この中でも私がとくに心に残ったのは、

・子どもをひいきしない。(たとえば、片方の子には名字に「さん」づけで呼び、もう片方の子には名前に「ちゃん」づけで呼ぶというようなことをすると、子どもはえこひいきをされていることに敏感に反応する。)

ということだった。
ここからは私の考えだが、呼び方というのは、相手への敬意を表しているように思う。
たとえば、教員同士でも、相手が年下であろうと、敬意を込めて、「先生」と呼んだり、反対に、対等な存在として話したいときには「さん」づけで読んだり、その呼び方に、相手に対する見方が表れているのだ。
呼び捨てで呼ぶのは子どもに対して敬意がないという見解もあれば、クラスの子どもに親しみを込めて呼び捨てで呼ぶ先生もいるとも考えられるので、呼び方をどうとらえるかということはなかなか難しいのだが、関係性がしっかりできるまでは、きちんと敬意を込めて「さん」づけで呼んだり、呼び捨てにしても、きちんと相手に敬意を示していることが分かるような声のニュアンスで話しかけたりする必要があるだろう。
とにかく、私は、この呼び方については、とても重要だと考えている。呼び方問題は、人権にまつわるものだと思う。(つまり、不適切な呼び方は人権侵害だと思うということだ。)
そのため、今回の研修で、呼び方の問題がきちんと取り上げられたのは良いことであったと思う。(呼び捨てにも敬意が込められている可能性があるというような難しい問題にまでは切り込んでいなかった点で、深まりに不十分な点があるとは思ったが。)
なお、私がオンラインでのやり取りの中で覚えた違和感というのは、この呼び方にまつわるものだった。この件については、ブログの最後に触れることとする。


③教員に求められる力。
三つ目の動画の内容も、箇条書きで簡単に紹介しよう。
・どうして先生になったのかを考えよう。自分は◯◯が好きだからというものを持とう。
・尊敬する先生のイメージを持とう。
・教師は◯◯であれ。自分にとっての教師像を明確にしよう。
・教育目標(学校の願い)を考えよう。
・子どもの願いを考えよう。
・保護者の願いを考えよう。
・目指す教師像を考えよう。
・学年、学級目標を考えよう。
・三つの目標(学力向上、体力向上、健全育成)を大切に。そのためには何に取り組めば良いかを考えよう。
・「教師は◯◯であれ」を考えよう。

このような内容だった。
以下には、「考えよう。」と書いた項目の自分の考えを記載する。

・教育目標(学校の願い)を考えよう。
子どもの良さを伸ばしたい。
できるようになる喜びを味わせたい。

・子どもの願いを考えよう。
楽しく過ごしたい。
友だちと仲良く過ごしたい。

・保護者の願いを考えよう。
子どもに安心して過ごしてもらいたい。
学力をつけてほしい。
友だちと仲良くしてほしい。

・目指す教師像を考えよう。
子どもにとって意義の深い学びをつくる。

・学年、学級目標を考えよう。
みんなが仲良く学びを深める。

・三つの目標(学力向上、体力向上、健全育成)を大切に。そのためには何に取り組めば良いかを考えよう。
子どもと向き合って対話を大切にした活動をする。

・「教師は◯◯であれ」を考えよう。
→誠実、即興的
誠実な人でないと信頼関係が築けないから。
その時その時の子どものあり方と向き合うことが大切だから。
なお、動画で話してくださった先生であれば、「芸人」「役者」を入れるとのことだった。それは、教員が人と接する仕事であり、関わりを大事にすることが求められるからだということだった。

以上が、動画の内容だった。
続いて、オンライン講義の内容を紹介する。
講義は、「Action!」というタイトルだった。
その名の通り、行動しようという内容だった。
では、どのような行動が大切か。
講義では、以下の4つの行動が大切なものとしてあげられた。

(1)見る
(2)聴く
(3)綴る
(4)伝える

まず、(1)(2)は、子どもをよく見て、子どもの話をよく聴くことが大事ということだった。一見手のかかる子でも、よく見て話を聴いてあげれば、その子なりの論理が見えてくるということ、そして、そうやってしっかりと見て聴いてあげることで、保護者ともつながれるということだった。このことは、私も、本当に大事だと思った。
続いて、(3)綴るというのは、記録をとるということだった。授業をみるときに、ただ漫然と見ずに、必ず記録をとることが大事だということだった。左に先生の発問を書き、右に子どもの声を書く。つぶやきを聴くことも大切。このような話だった。記録の取り方が詳しく話されていたので、とても勉強になった。
最後に、(4)伝えるというのは、教師が自分の思いを子どもに伝えるということだった。毎日、子どもに向けて黒板にメッセージを書いた先生の話を聞いた。そのクラスは荒れていて、始めはメッセージを消されたり、落書きをされたりしたが、毎日続けていったら、最後には読んでくれるようになったということだった。また、子どもに伝えられるということ、子どものことを語れるということは、(1)見る(2)聴くを大事にした結果だということも話された。私も、それは、本当にそうだなと思った。
とても心温まる話で、オンライン講義はとても良かった。

最後に、今回の研修で一つ違和感を覚えたことを書いて終わりにしよう。
私は、今回の研修に向けて、一生懸命、動画を見て勉強した。
①教育公務員としての在り方。を見て、「(◯◯市区町村)の教員として頑張ろう!」という気持ちになっていた。
ところが、オンライン講義の始めに、少し司会を進める主事の先生とやりとりがあったのだが、他の先生が「◯◯先生」と呼ばれる中、なぜか、私だけ「◯◯くん」と呼ばれた。
正直、わけが分からなかった。
②新任教員としての心構え。では、呼び方の問題が指摘されていた。私も、それを見て、呼び方による差別は子どもを傷つける人権問題だと思って、自分も気をつけようと改めて思わされていた。
そんな矢先に、その動画を配信した当の研修担当者が呼び方による差別をしているのだ。
さすがに、呼び方による差別をしたのは、動画で呼び方のことを話していた先生ではなかったが。でも、同じ立場の人間として、研修受講者が見る動画の中で他の担当の先生がやめようと紹介していることを、研修の会話の中でしてしまうというのはいかがなものだろうか。
なんだか、一人だけ「くん」づけで呼ばれて、自分は教員として見られていないのかなと、悲しい気持ちになった。
なぜそのような呼び方をされたのだろうか。
顔が童顔だからだろうか。(これでも、22か23歳の新卒者が多くいる中で、30歳というわりと歳を重ねている方なのだが。)
オシャレな壁紙を背景にzoomをつないでいたから目をつけられたのだろうか。(いつもテレビ電話をつないだり、動画を配信したりするときに使っている場所でzoomをつないだだけなのだが。背景に配慮が必要なら先に言うべきではないのか。テスト配信で、「オシャレな壁紙だね」と、純粋に褒めているのか、暗に批判されているのか、よく分からない指摘をされたから、本会議では、わざわざ部屋の物の配置を変えて、壁紙を白にして臨んだ。)
それとも、前髪をヘアアイロンで伸ばしていたからだろうか。(と言っても、そんなに目立つような奇抜な髪ではなかった。生まれつきの直毛と言われればそれで通る程度のことしかしていないと思う。ワックスもつけていない。ドライヤーで多少フワッとさせたがそんなに髪が立ち上がるほどヘアアレンジをしていたわけでもない。)
なんだかよく分からないが、「くん」づけで呼ばれるわ、壁紙のことでいじられるわで、とても不快な気分にさせられた。
これが(◯◯市区町村)の人権感覚かと思うと、今年度、学校で(◯◯市区町村)からテーマがおりてくる人権にまつわる校内研究がどうなるのか、とても先が思いやられる。(今年度、うちの学校では、上から人権にまつわるテーマがおりてきて、そのテーマに基づいて校内研究を行うことになっている。)
この違和感を報告書に書いたら、さらに目をつけられるだろうか。でも、目をつけられないように忖度してこのことを書かないというのも嫌だな。さて、どうしたものか…。


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