見出し画像

行動経済学で防御力を高める

「行動経済学」

という学問があるのをご存知でしょうか。

「行動」と「経済」を
掛け合わせているものに見えますが、
この「行動」は人間の心理からくるものです。

つまり、源流は心理学にあります。

もともと、
心理学は4つの分野に分かれています。

発達心理学。

これは教育や人間の発達にまつわる心理学です。

認知心理学。

人間が如何に外界を、知覚し、記憶しているか。

そのような人間の認識の仕組みを
解き明かす学問。

AIなどもこの分野の心理学となります。

3つ目は、臨床心理学。

これは実際に症状に対して、
どのように治療をしていくのかという、
実践向きの心理学ですね。

そして、社会心理学。

人間は集団の中で
一人では取り得ない行動を取ります。

そんな、
2人以上の集団になったときに生じる
人間の不可解や変則的な行動を解き明かす
心理学と言ってもいいでしょう。

この社会心理学から派生したのが、
行動経済学です。

心理学の知見に基づき、
市場が消費者をどのように操作しているのか。

この学問を学ぶと、
企業の販売戦略の裏側が見えてきます。

それはnote運営に役立つこともあれば、
日常の消費生活に役立つこともあるでしょう。

今日は専ら、
どうやって企業の戦略の裏を見抜いて
踊らされるのを防ぐかという

「防御力」にウェイトを置いて、
記事にできればと思います。

楽しんでいただけると
うれしいです。



人間は不合理な生き物

行動経済学を一言で言うと、

「人間の非合理な意思決定のメカニズムを解明し、経済に応用する学問」

だと言えます。

「不合理」とありますが、
人間は本来合理的に判断する生き物ではありそうです。

ただ、
衝動的に買い物をしてしまったり、
後がつらいと分かっていてもサボってしまったり、

常に合理的に動いているわけではないのは
納得してもらえるかと思います。

この行動経済学を語っていくには、
大前提を確認しておかねばなりません。

人間の脳が情報を処理する際には、

「直感」に基づいて判断するシステム
「論理」に基づいて判断するシステム

の2つに分かれているということです。

「論理」で考えた方が、
経済的には合理的な判断をすることができます。

ここで、それらを実感してもらうためのクイズ。

野球のバットとボールが、
合わせて110円で売っています。
野球のバットはボールよりも
100円高いです。
別々に買ったら、
それぞれいくらになるでしょう?

筆者は最初、

「え?100円の差なんだから、100円と10円でしょ?」

と思いました。

しかし、
100円と10円の値段の差は、

100円ー10円=90円で、
差は90円になってしまいます。

つまり正解は、
105円と5円が正解です。

筆者以外にも、
ひっかかった人がいるかもしれませんね。

もし、そうだとしたら、

「直感と論理を確かめるクイズ」

知っているにも関わらず、
間違った認知をした
ことになります。

論理のシステムではなく、
直観のシステムを使ってしまったのです。

このような気付かれない仕掛けが、
世の中には様々なところに散らばっているのです。

それを知っていけば、
防御力は確実に高まっていくでしょう。


買い物するのはいつが正解?

さて、先ほどの、
直観システムと論理システム。

直観システムは
間違った認知が多いのであれば、

論理システムを使えばいいわけです。

それを分かっていても、
直観システムを使ってしまうときは
どのような時なのでしょうか。

例えば以下のような時です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・疲れているとき
・情報量、選択肢が多いとき
・時間がないとき
・モチベーションが低いとき
・情報が簡単で見慣れすぎているとき
・気力、意志の力がないとき

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おそらく、
1日の終わりの疲れているときは、
直観で何かを買ってしまう人が多いはず。

疲れているとき、
気力が衰えているとき全般は、
買い物を控えた方がいいかもしれませんね。

情報が簡単で見慣れすぎているときは、
新しい刺激を求める性質があるからでしょう。

赤ちゃんですら、
間違った情報の方に注意を長く向けることが
分かっている実験があります。

「違和感を感じるもの」
「異なりを感じるもの」

に、人間は注目しやすい性質をもっているんですね。

さて、ここからは、
もっと具体的な防御術をお伝えしていきます。


無意識の「仕分け」を使いこなす

次は、
メンタル・アカウンティングという、
無意識にお金を何に使うかを、
仕分けている人間の心理についてです。

「劇場の10ドル」

という研究があります。

以下のような質問で
あなたはどうすることを選ぶでしょうか。

【A】
あなたは劇場でチケットを
買おうとして財布を開くと、
1000円を失くしたことに気付きました。
それでもあなたは財布にある
残りの1000円を出して、
当日券を買いますか?

この質問には、
もう1つの類似した質問があります。

【B】
あなたは事前に
1000円の前売券を買ったが、
劇場についたら前売り券が見当たりません。
それでもあなたは財布から
1000円を出して、当日券を買いますか?

これは人によって分かれますが、
調査ではどれぐらいの差が生まれたのでしょうか?

Aの場合、
「買う」と答えた人は88%。

Bの場合、
「買う」と答えた人は46%。

おおざっぱに言って、
2倍の差が生まれました。

どちらも1000円という価値の話。

しかし、
メンタル・アカウンティングの考え上、
このような特質を導き出すことができます。

『人の心の中には「何のためのお金か」が無意識に仕分けされている』

まだ何の役目もなかった1000円は、
失くしてしまったとしても、
残りの1000円に役目が代わりに与えられた。

事前にチケットを購入していた場合は、
残りのお金は何に使うかを、
既に仕分けている人は多かった
ため、
「再び購入」を選択する人が減ったのです。

家計簿をつけていると、
より緻密にこれらを管理できますよね。

問題は臨時収入など、
思いがけない収入が入ったときですね。

この場合は、家計簿に載っていない、
予め何のために使うか
決まっていないお金なので、
ついつい余計なものを購入してしまったりします。

その辺りまできっちり管理したいならば、
家計簿に「臨時収入」の項目をつくればいいでしょう。

そして、
臨時収入専用の貯金箱なんかを用意し、
それが一定額貯まったら、
〇〇を買う、〇〇の口座に入れるなど、
役割を決めてしまう
と論理的に
コントロールできます。

ちなみに、人間は、
お金よりもポイントを軽視する傾向があります。

もっと言えば、
電子マネーを軽視する傾向もあるのです。

現在はキャッシュレス化が進んでいます。

現金の場合は、
実際に手元からお金を払うという動作をし、

「認知的不協和」という、
貯めたいけど使ってしまうという痛みを抱える
ことになります。

すると、
自分の行動の矛盾を正そうとするので、
衝動買いなどは減ります。

データやポイントはそれが薄まるので、
簡単に衝動買いができてしまう。

便利さの追求面でもそうですが、
消費者にお金を使わせようとする
裏の意図もかなり入っているでしょう。

このような中で大事なのは、
自分の中に「不協和」をつくることです。

家計簿できっちり管理し、
余分に使い過ぎたら「不快」な感情が
生まれるようにしておく。

あまり厳し過ぎてもストレスになるので、
最初の割り振りをじっくり考えたいですね。

ここから先は

1,184字 / 3画像
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?