AI時代に記憶力?必要ないでしょ?・・・え?意外に必要!? AI vs 記憶力
流行りに疎く、
時差が生じて作品に手を出す筆者。
最近、ふと「推しの子」を読んでいます。
いつも、
いやいや~そんな言うほど面白い作品なんて稀でしょ~
と思いながら手に取り、
・・・面白い!!
となることが多い笑
今回も、そうでした🤣
共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨
教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
「知識中心の大学受験は意味がない!」
「AIの台頭で知識はいらなくなる」
そんな声を聞くことが多くなり、
これまでの学校教育の在り方が問われてきています。
この流れ自体は、
非常に素晴らしい傾向です。
一方、
分からなければ全てAIに聞くから、
知識はいらないだろうと、
極端に考え過ぎて、
知識を軽視し過ぎるのは危険だとも思っています。
では、知識を教えるような教育は、
どれぐらいのバランスを考えて行えばよいのでしょうか。
今回はそんなテーマを、
一歩突っ込んで考察していこうと思います。
楽しんでご覧いただけるとうれしいです。
時代の変化
なぜ知識が軽視されるようになってきたのでしょうか。
それは、
情報に対する価値が下がってきているからです。
これまでは、
一部の専門的な職業の人間だけが、
握っている情報というものがありました。
しかし、SNSによって、
情報が民営化され、
金融業だろうと、
医療だろうと、
無料で有益な情報を、
手にすることができるようになってしまった。
すると、
情報をもっていることに対する、
価値が低くなるのは当然。
では、知識を学ぶことはストップし、
AIを活用する学習をやればよいのでしょうか。
思考力を高める議論のような授業だけ、
行っていればよいのでしょうか。
それを、次の章で見ていきます。
記憶力が低くなることの弊害
まず、
「記憶力がゼロだったら」
と仮定して考えてみます。
記憶力ゼロで、知識ゼロであれば、
共通の話題を共有することさえできません。
「英語の勉強法でシャドーイングをやっててさ~」
と言われても、
「シャドーイングって何?」
の状態です。
そうすると、いちいちその言葉の意味を、
人に聞いたり、AIに聞いたりすることになります。
これは相手をイライラさせてしまうでしょう。
まるで、
外国の人と会話をしているように。
これは極端な例ですが、
小学校の授業でも同じことが起こり得ます。
社会の授業で、
「これから日本は、農業漁業に力を入れていくべきか。AIのようなテクノロジーに力を入れていくべきか。」
といった討論テーマがあったとき、
前提となる情報がなければ、
友達と相談すらできませんし、
思考力を働かせることも難しい。
筆者はこれを、
「思考の足場」
と言っています。
前提となる知識は、
同じ土俵内で話をするために、
一定量必ず必要になるのです。
加えて、
記憶している知識が多い方が、
さらに情報が集まりやすいという性質があります。
AIを使って様々なものを調べようとしても、
10の知識をもっている人と、
100の知識を持っている人では、
調べたい分野の選択肢の数に、
圧倒的な差が生まれる。
知識が少なければ、
そもそも何を調べたらよいかが分からなくなるのです。
さらに言うならば、
「アイディアが生まれる条件」
という点での話があります。
アイディアというもは、
お酒のブレンドと同じです。
ジンとベルモットを合わせると、
マティーニというお酒ができるように、
AとBという情報を合わせて、
Cという新しいアイディアが生まれます。
人間は、ぼーっとしている間に、
知識の分だけアイディアが生まれるのです。
A、B、Cの情報しかない人は、
AB、AC、BC,ABC
という、4つの組み合わせしかない。
A、B、C、D情報があれば、
AB、AC、AD、BC、BD、CD、ABC,ABD、ACD,BCD
と10この組み合わせに急上昇するのです。
これが、
知識量100の人と、
知識量1000の人とでは、
どれだけの差がつくのかが、
想像ができないですね。
つまり、
記憶力や知識量が低ければ、
アイディアという点においても、
大幅な遅れをとってしまうこととなるでしょう。
脳科学×記憶力
そもそも、
AIと人間の脳というものは、
仕組みが同じと言われています。
ChatGPT、CopilotなどのAIも、
ここまで急速に発展すると思われていなかった。
なぜ可能になったかと言えば、
インターネットが普及して、
世界中の情報を一気に集めることができたからです。
情報が一定のラインを越えた瞬間に、
大きなイノベーションが生まれる。
AIは人間の脳をトレースするように作られているのですから、人間の脳も、知識が一定の情報量を越えた時にイノベーションが起こる可能性がある。
やはり知識が多ければ多いほど、
革命的なアイディアを導き出すことができるでしょう。
人間の脳は、
デフォルトモードネットワークという、
ぼーっとしている時こそアイディアが生まれる性質があります。
この時の脳は、
60~80%稼働しています。
対して、
ChatGPTやAIを使っている時は、
脳がシャキッと集中している時なので、
脳はほとんど稼働していません。
(セントラルエグゼクティブネットワーク)
この時は、脳全体の5%しか、
使用していないことが分かっています。
つまり脳が勝手に働いてくれる時間に、
いい仕事をしてもらうには、
予め知識を仕込んで、
ぼーっとしておくしかないのです。
知識量を増やすためにも、
記憶力は大切になります。
また、脳科学的にも、
10代、20代が、
入力装置期と言われ、
単純記憶力を最大限使える時期です。
この時期に多くの知識を記憶しておくことで、知識の土台ができ、30代以降のアウトプットの人生期に大きく貢献してくれることになります。
上質の情報にたくさんふれておくことで、
センスが磨かれる時期でもある。
だから、この時期に、
記憶力を磨かないことは、
黄金期をトブに捨てていることになる、
極めてもったいない行為なのです。
大事なのは、
記憶と思考のバランス。
そして、どのような目的で、
どのような内容の知識を身に付けるかということ。
では、記憶力を底上げするためにはどうするのか。
そこで、
筆者が行っていた暗唱指導を紹介します。
暗唱指導
筆者は、暗唱指導といって、多い時で、
年間で30~50の有名詩文を暗唱させていました。
百人一首もほぼ全員覚えていたので、
そう考えると、
100の詩文はゆうに超えると思います。
その暗唱指導は、
以下のように行います。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
【暗唱題材】
【1日目】
❶先生の後に続いて読む
❷先生と交代で読む
❸教室の廊下側と窓側で交代で読む
❹起立して1人で読む
❺全員で一斉に読む
❻自分が読みたい行を2~3つ決めて読む
(たけのこ読み)
【2日目】
❶起立して1人で読む
❷全員で一斉に読む
❸1行目だけ覚えたら立つ
❹2行目まで覚えたら座る
❺3行目まで覚えたら立つ
❻全て覚えたら座る
❼最後にできるだけ見ないで一斉読み
【3日目】
❶起立して1人で読む
❷全員で一斉に読む
❸下3分の1を隠して読む
❹下2文の1を隠して読む
❺下4分の3を隠して読む
❻全て隠して読む
【4日目/5日目】
❶起立して1人で読む
❷全員で一斉に読む
❸トレーニングタイム
❹暗唱チャレンジ
❺全員で一斉に読む
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
1日あたり5分もかかりません。
高速で、リズムよく、
畳みかけるようにして進めていくので。
その方が子どもはついて来ます。
ドーパミンが出るので。
これだけの、
スモールステップを積み重ねると、
95%以上の子どもは完璧に覚えます。
後の5%は個別支援です。
そして、
「暗唱チャレンジ」
では、たった1人で、
全員の前でスラスラつっかえずに言えたら合格。
ちょっとでもつっかえたら、
不合格です。
ですので、当初は、
不合格者続出です。
「ふるいけや かば・・・」
「不合格!」
といった感じで笑
すると、
不合格で当たり前という空気になり、
どんどん挑戦するようになります。
そして合格者が出ると、
「おおーーーー!!!!」
と拍手喝采。
このポイントは、
一切強制しないこと。
すると、なぜか、
意見を言うことすら恥ずかしがる女の子たちも、
次々と挑戦するようになるのです。
そして、
1人で楽しく戦い抜くという経験を通して、
精神が鍛えられていきます。
1人1人が強くなる。
こうして、
挑戦することが当たり前という、
クラスの空気がつくられていくのです。
この暗唱指導の効果を1つあげるなら、以下。
「記憶の回路が太くなる」
ということ。
神経回路は、
何度も同じものを使うと、
その電気信号のパイプが、
太くなり速くなります。
よって、2学期には、
1日経っただけで、
「先生、俺、もう覚えたわ」
という子どもが次々と出てきて、
あっという間に吸収していくようになります。
もちろん、
その効果は他の教科にも転用され、
算数の学力が急上昇していく子もいました。
ある年の2学期後半、
3年生の子どもが、
授業でも扱っていない暗唱を、
自主的に覚えてきて披露してくれました。
これを1回もつっかえずに、
1回もとまらずに、
ずっとスラスラと、
流れるように唱えていくのです。
あなたは、できますか?笑
筆者もなかなか厳しい。
このように、
子どもが大人を越えてくる瞬間が、
教育は幾度となく訪れます。
ある保護者は、
「兄弟のうち先生に教えてもらった子だけが、明らかに記憶力がよくなってる。暗唱や百人一首などにハマってたからだと思います」
と言っていました。
まとめ
筆者が思っているのは、
記憶教育が悪いのではなく、
大学の入試内容が不十分であると感じています。
高校3年間かけて、
大学入試を通過するために行う勉強は、
流石に無駄が多いと思っている。
記憶教育は大事だが、
思考力を鍛える時間も、
もっとバランスよく取っていく必要があると思っています。
小学校高学年からは特に、です。
N高が新しくZEN大学という、
大学をオープンします。
そこは入学の足切りはほぼなし。
つまり受験勉強があまりいらない。
そして、
有名人たちも多く通うと思うので、
段々と人気になっていき、
「大学入試のための勉強」
は一部、崩壊していくと思います。
そんな時代の推移もバックグラウンドとして捉えながら、記憶教育と、思考力を養う教育のバランスを取っていけるとよいですね。
明日の記事は、
📓天才クリエイターたちの最強ルーティンを解き明かす!習慣×自律神経×脳科学
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