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夢多き身に生れ

 記憶の滴がぽとりと落ちて
 虹色の波紋が起こる。

 気紛れに辿ってみようと思い立つ。
 夢見る童子のときめきに触れたくて。

 たおやかで、はかなげな瞳。
 けなげで無垢な魂。 
 そっと優しく包み込みたくなる。

 見知らぬ街を彷徨うのを愉しみ、
 至福の世界に惚けていた君。
 
 だけど知らなかった、その代償の大きいことを。
 どんな不条理な物語と出会うかを。 

 …………
 …………………
 ………………
 ………………………
 
 嗚呼、哀れなる哉、イカロスが幾人も来ては落っこちる。

 そんな君へ贈る、この詩句を。
 
  夢多き身に生(あ)れ
  今朝も呟くは
  風、風、風
  また、風、風
            ――村上一郎
 

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