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ゴルフはきのこソテー

 仲間たちとの血と汗と涙の結晶たる思い出は生涯忘れない。炎天下の校庭で流した汗。コンと打って地を勢いよく這う白球。ゲートに足を引っ掛けて転んで流した血と涙。
 小学校4年時に所属したゲートボールクラブ。私の人生唯一の体育会系クラブ所属経験である。
 翌年ゲートボールクラブは一年の歴史を持って部員不足により廃部になってしまい、私は昔の遊びクラブへの転籍を余儀なくされたが、木から金属となり、ゴールがゲートからカップへと変わったに過ぎない非常に近似したスポーツであるゴルフなんて、豊富かつ濃厚な1年間のゲートボール経験者からすると、きっとイージーに違いない。
 だが、何年も前に使い古されすぎたゴルフクラブセットを友人からもらったものの、一度もコース出たことないどころか、練習場にも行ったことはなく、そもそもクラブを握ったことは一度もない。サッカーは市営グラウンドが当たったら100円程度で試合に参加できるというのに、ゴルフはいくらかかるのか。
 故にずっとゴルフクラブセットは寝ている。湿気の充満した物置にずっと放置してあるので、ゴルフバックはカビだらけとなっていた。もうじきキノコが繁殖して、今夜のご馳走はきのこソテーになるかもしれない。そうなって、はじめてこの全く使い物にならなかったゴルフクラブセットに活用の道が出てくるのだ。
 売ろうとしたゴルフクラブは引き取り拒否にあい、この週末清掃工場に持ち込んで処分してもらおうと思う。人生でゴルフクラブを握る日はきっとない。

サポートしてもらって飲む酒は美味いか。美味いです。