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黒占
2022年9月6日 16:34
心が内へ閉じこもったまま膨らみ始めて、二年が経った。 それだけの時間が経てば、流石に情報も増える。あの日教室で私が見たあの子は、水橋譲花という名前らしい。手紙を書き始めた時はあんなにも知りたかった事だというのに、不気味なほど感情が動かなかった。ただ、綺麗な名前だな───とだけ考えた。 彼女───水橋は、文芸部に所属していた。あの夏休みに一緒に居た二人の男もその一員であったようだ。 私が入学