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本能寺の変記念! 自転車で京都―亀岡ルート解説

「敵は本能寺にあり!」―6月2日は本能寺の変発生の日ということで、京都から亀岡まで自転車で行く際のおすすめルートをご紹介(亀岡=明智光秀出撃の地)。なお、天正10年6月2日は当然旧暦なので、実際に本能寺の変が起こった時季は7月後半になるので要注意!

■概要編

 自転車はこんなご時世でも濃厚接触リスクが限りなくゼロで、CO2もまったく排出しない夢の移動手段。しかも乗れば乗るほど健康になれる(※個人差があります)。今こそみんな自転車に乗ろうじゃないか。
 何よりまず、自転車は地形を全身で感じられるエクセレントな乗り物だ。地形の傾斜も起伏も段差もダイレクトに受け容れなければ前に進めない。すなわち京都―亀岡間ならば、そのディスタンスと、途中に横たわる「老ノ坂峠」が襲いかかってくる。距離と地形は以下の通リ。

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《条件》
両者の起点は「京都側:千代原口交差点」「亀岡側:サンガスタジアムbyKYOCERA」とする。

京都市西京区(千代原口)←→亀岡市(サンガS)
・総距離 14.3km
・最大標高差 199m
・平均斜度
 (京都→亀岡)3.4%
 (亀岡→京都)3.3%
・基準標高
 (京都側)千代原口交差点 28.5m
 (亀岡側)サンガスタジアム 85.5m
・最高標高 老ノ坂トンネル 227.1m

《補足》
起点においた千代原口は京都市の中でも西寄りなので出発地点が変わればさらに距離を足すことになる。たとえば
・京都駅 から +6.7km(=21.0km)
・京阪三条から +9.1km(=23.4km)
・北大路駅から +12.6km(=26.9km)
・本能寺跡(油小路蛸薬師)から +7.8km(=22.1km)

 つまり京都から亀岡まではおおむね20km強のディスタンスがあり、途中200mくらいの高低差を乗り越えるということになる。距離的にも標高差的にも京都市中心部←→大津に近い。峠が2つある京都―大津間をクリアできる人は峠が1つしかない京都―亀岡もおそらく大丈夫。坂道の平均斜度も3.4%と大したことはない。ただし、たぶんママチャリだとキツい。自転車はスポーツタイプ推奨。ついでに本格的な登坂区間だけのデータを抜き出してみる。

●京都→亀岡の登り部分(沓掛のラブホ前→老ノ坂トンネル)
 距離 2.8km
 標高差 108.8m
 平均斜度 4.0%
●亀岡→京都の登り部分(王子交差点→老ノ坂トンネル)
 距離 1.9km
 標高差 94.6m
 平均斜度 5.0%


〈参考データ〉京都←→山科の登坂区間

○南禅寺前→日岡峠の最高点
 距離 1.19km
 標高差 47m
 平均斜度 4.0%
○御陵(山科)→日岡峠の最高点
 距離 1.73km
 標高差 49m
 平均斜度 2.8%

 平均4.0%の登りというのは三条通を京都から山科へ越えるのと同じで、距離が2.3倍になる感じ。老ノ坂峠はちょうど「へ」の字型で、亀岡側から京都方面向きの方がやや急になっている。距離と地形だけ見れば、ちょっくら遠出くらいに最適なルートなのだが、この区間最大の問題は交通量と路面状況になる。では実際に走ってみよう。

■実践編

※道路交通法上、自転車は道路の左側路肩を走るように定められているので守りましょう。

1.千代原口から旧山陰道へ
 千代原口から国道9号線(五条通の延長)をそのまま登るが、交通量が多い上にクルマがビュンビュン飛ばして大変危険な区間。いきなり注意書きに反するがここは路肩は避け、歩行者には十分注意した上で歩道を走るようにしよう。「樫原秤谷」の交差点で右折。これが旧山陰道になる。

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↑「樫原秤谷」で右折するべし。

2.旧山陰道は快走区間
 旧山陰道に入るとしばらくは緩い登りとなるが、走りやすいのでのんびりとウォームアップの気分で。中山のバス停のところからは下り坂&フラットになり、旧道特有のゆるやかで自然なカーブが心地よい区間。何より交通量が多くないのがいい。さすが旧道。旧道ばんざい!

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3.沓掛から再び国道へ
 しばらく走ると沓掛のバス停。沓掛という地名は全国に存在し、旅人が沓(くつ)を掛けるとに由来する。つまり峠の小休止地点と思えばよい。その先右手に大枝神社があり、隣には平安京を造った桓武天皇の母・高野新笠(たかののにいがさ)の陵墓への登り口がある。高野新笠は渡来系の百済王氏の一族とされる。話が逸れた。陵墓を過ぎると民家も減って雰囲気が変わり、ラブホが2軒現れるといよいよ老ノ坂峠の本番モードに突入。もしここまで来るので精一杯だという人は、迷わず引き返そう。

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「山陰道沓掛」。沓掛は本能寺の変でも登場する地名。

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旧山陰道はラブホの先で国道9号に合流する。

4.国道9号、自転車にとっては酷道
 ここから再び国道9号線と合流。しばらく進行方向右の路側に歩道があるのだが、ほどなく途切れるため、京都成章高校の信号のところで道路左側に渡ろう。ここからは歩道もなくなり、片側1車線の国道をクルマやトラックがビュンビュン飛ばすという状況となる。ちなみにこの区間の法定速度は40km/h。法定速度を守ってるクルマはほぼ皆無。老ノ坂峠は交通量さえ少なければ何でもない峠なのだ。実際、数年前に日曜早朝に走った時は結構楽しかった。しかしクルマが次から次に飛ばしてくる交通量になるとハンパなくストレスがかかる。でも実は上りの方がまだマシだったりする。下りで追い越しかけられると、本当に怖い…。

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国道9号の状況。法定速度は40km/hですよ。

5.ペダルを回して頂を目指す
 坂道を上がるコツとしては、「80%くらいの力で」「ペダルをクルクルと回すように意識して」走るといい。最初から全力で坂道に挑むとだいたい途中でバテる。ペダリングは踏み込む感覚だとロスが多いので、前後に動かすように回して行く感覚で。本格派の方々はビンディングペダル&シューズで固定したりするが、まぁそこまでするほどの坂でもない。速さを求めないならとにかく焦らずに体力を残しつつ一定のペースで回し続けていくと100mの標高差は大したことはない。ピークまで風景の変化も特になく、面白くもない。右手に茶色い建物が見えたらあと少し。京都西山霊園の入り口のところで亀岡市へと越境する。

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京都市と亀岡市の市境。路肩めっちゃ狭い。

6.老ノ坂トンネルからダウンヒル
 ついに峠のピークとなる老ノ坂トンネルに到着。歩行者・自転車用のトンネルは進行方向右側なので手前の集落のあたりで安全を確認して道路を渡るべし(信号なし)。225mのトンネルは涼しくてオアシス。トンネルを抜けると即座に下り区間が始まる。まずは横断歩道があるので道路の左側に渡ろう。ここからは平均斜度5.0%のダウンヒル。法定速度(40km/h)で走行してもさらに追い越しをかけてくるクルマもいるので気をつけたい(そのクルマ、交通違反ですぞ)。なお、下りではお尻をサドルの後方に置いて体重を後ろにかけてもしもの危機に備えるようにと教えられた。風のように駆け下りれば王子の交差点。老ノ坂峠、これにて終了。

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昔の老ノ坂トンネルが歩行者・自転車用。左が国道9号本線。

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「王子交差点」。ここで直進せずに右斜前の道路へ入る。

7.篠村の旧街道を下りていく
 王子の信号(なかなか変わらない)を渡ったら、緩やかな下り坂が続く旧道へ。この道が旧山陰道っぽくもあるが、本当の旧山陰道はちょっとだけ違うらしい。ここらは篠(しの)という地名で、途中、足利高氏(尊氏)の旗揚げで有名な篠村八幡宮がある(旧山陰道はこの社の北側を通っている)。道なりに進んで1つ信号を越え、マツモト馬堀店を通り過ぎて次の信号で左へ(直進してしまうと馬堀駅に突き当たる)。馬堀のあたりから道筋は旧山陰道と合流する。

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篠を通る旧道は快適。でも飛ばしすぎないように。

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馬堀駅へと直進せず、左に入れば再び山陰道に合流できる。

8馬堀~.サンガスタジアムへ
 馬堀から道路はほぼ一直線。それでもどこか旧街道の風情を感じる雰囲気がいい。街道を突っ切れば城下町の中心部に至るのだが、「クニッテルフェルト通り」との交差点で右折しよう。しばらくすると正面にスタジアムの大屋根がちらりと見えてくる。最後はイオン亀岡店の手前の信号を右へ。ここからは道路右側の歩道を(歩行者には注意して)進む。跨線橋(保津橋)から先は右側しか通行できないためだ。そして跨線橋の左手には雄姿を見せるのが我らがサンガスタジアムbyKYOCERA。橋上の信号を渡って橋を下ればゴールだ!

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旧山陰道を一直線に進む。がんばれ!!京都サンガF.C.。

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イオン(元サティ)が見えたら右折。スタジアムの屋根がかっこいい。

9.本文とは関係ないけどサンガスタジアムの写真を見てほしい

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以上撮影日:2020年3月1日

10.ちなみに復路(亀岡→京都)は…
 亀岡→京都は往路の逆行なので特筆すべきことはないが、難所としては王子の交差点から先の老ノ坂がちょっとキツめの登り坂になる。ただし、道幅は比較的広いのでクルマの圧迫によるストレスは少ない。老ノ坂トンネルから先の下りは道幅がかなり狭くて細かなカーブが多いため、正直怖い。交通量の多い道路でのダウンヒルは本当に精神が削られる。基本標高が京都の方が低いことと、西→東の追い風になることが多いので、行きよりも時間的には早くなることが多い。なお、本能寺の変当時は当然トンネルなどないので、光秀進軍ルートはもっと山寄りだったとされている。

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復路・亀岡側からの老ノ坂トンネル。



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