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子どもに離婚のけじめはいらない〜夫婦仲は悪くても調停中から共同養育を実践〜

みなさんこんにちは。一般社団法人りむすびです。

離婚後も両親で子育てする共同養育を実践しているパパママのインタビュー記事「共同養育man&woman」特集。

今回は、夫婦仲は悪くても調停中から共同養育を実践をしていた同居親ママさんをインタビュー。お相手への感情の整理の仕方や関係が良くなったきっかけ、お子さんとの父親との交流などについて思いを聞かせていただきました。

ープロフィール

お名前:立石忍さん
お子さんの年齢・性別:小6長女
経歴:大学卒業後、企業で事務職に就く。アロマやマッサージにも関心がありOLとエステシャンとして二足のわらじの生活を送る。
37歳で自らサロンを立ち上げ「食べて痩せるダイエット専門サロン ナチュラ」を経営。プライベートでは、30歳で結婚し2年ほどで離婚。その後、35歳で再婚し37歳で出産。2年の調停を経て2022年2月末調停離婚。元夫の近所に暮らしながら共同養育を実践中。


ー別居までの経緯を聞かせてください。

子どもが生まれてから夫婦のすれ違いが大きくなり、別れるのもありかなと思うようになっていました。離婚を考えていることを夫に伝えるとさらに関係が悪化してしまったため、悩んだ末、娘が小3の時に私が娘を連れて家を出ました。

といっても、娘を転校させたくなかったのと、私自身も自宅でエステサロンを経営していたので、遠くには行かずに道をはさんで隣のマンションへ引っ越しました。

感情としては夫と顔を合わせなくて済むような遠くへ行きたい思いもありましたが、それは子どもにとっても私にとっても現実的ではなかったので選択肢には入れませんでした。

ー別居後の夫婦のやりとりは?

最初はLINEでやりとりしていたのですが、お互い批判しあい争いが激化してしまったので、弁護士に相談し離婚調停を申し立てることにしました。

調停中もしばらくはメールやLINEなどで直接やりとりをしていたのですが、夫から長文メールが来るので直接のやり取りはブロックしました。それ以降は、弁護士を介して調停でのやりとりのみになりました。


ーお子さんとお父さんの関わりは?苦労したことはありますか

すぐ近くのマンションに引っ越したので、別居直後から娘は週末は歩いて夫の家に行っていました。

別居当時は、正直いえば夫と娘と楽しく過ごすことは面白い気持ちではない時もありました。ただ、娘が帰宅したときの喜びに満ちた表情を見て、続けた方がいいんだろうなと思えるようになりました。

もめていた時に「お父さんに会わないでほしい」というような発言をしてしまったことがあったんです。その時に娘の表情にみるみる曇って…なんてことを言ってしまったんだと後悔しました。私が言った事って、意地悪なお母さんみたいですよね。

私の周りの人は「なぜ別居しているのにそんなに会わせるのか、会わせない方がいいんじゃないか」という声が多く、自分がやっていることが本当に正しいことなのかわからなくなった時期もありましたね。弁護士もそこまで頻繁に会わせる必要はないと言っていました。

ただ、別居する直前にたまたまりむすびの講演会を見に行って「共同養育」という方法があることを知っていたので、きっと間違っていないはずと信じて続けました。周りの理解を得るのが大変でしたね。


ー離婚まで2年かかったとのことですが、離婚に進んだきっかけは?

別居中の夫婦関係はずっと劣悪でしたね。お互い批判しあうので余計に疑心暗鬼になって。相手が悪い、自分は悪くないという気持ちになってバチバチに争っていました。

そんななかあるきっかけがあったのです。別居から2年過ぎようとしていた頃、突然夫が飼っているハムスターを出張の際に預かってほしいと持ってきまして。

最初は「なんで?」と怒りの気持ちでいましたが、ハムスターを預かっている間に確認したい事項もあり、やむを得ず直接LINEしたんですよね。

そうしたら自然と話せるようになり、ついでに「このままの状態だと裁判しなくちゃいけなくなるんだけどどうする?」といったことを話しかけてみたんです。

すると「それはよくない。そろそろ離婚に向けて考える」という流れになり、一気に離婚に向けて協力体制が築けて調停離婚が成立したんです。

調停前にわが家で離婚条件を決めるために協議した日もあったんですよ。驚きですよね。やはり、直接話すって大きいですね。


ー離婚した後はどのような感じですか。

ひと区切りついてとても気持ちが楽になりました。離婚したことで相手との関係も雪解けしましたね。先日は私から元夫に声をかけて、娘のお雛様のお祝を3人でしたんですよ。別居当初からは考えられません。

お互い娘を介して話す感じでしたが、娘もなんだか照れ臭そうにしながらも嬉しそうな表情でした。あんなに関係悪化してたのが嘘のように、今は適度な距離感を持ちながら親同士としていい関係になれています。

なので、わが家は面会交流の取り決めもしていません。すでに子どもの意志で自由に行き来していますし、娘が父親と直接連絡して会うし、父母でも連絡しあっているので、全く問題ないです。


ー共同養育を知るきっかけはりむすびの講演会以外にありましたか。

海外の友人がいるのですが、離婚したい思いを話したときに、海外では共同養育があたりまえだという話をしてくれたんです。日本ではひとりで育てる風潮がありますが、そうする必要はないんだなと目からうろこでした。

片親より共同養育が子どもの健やかな育ちにメリットが大きい。両方の親に会えるのは子どもの権利であるという考え。そのため夫婦の感情より子どもファーストで共同養育という考え方は合点がいきました。

あと、共同養育をし終えている友人の話を聞く機会もあったのですが、両親が関わっていてよかったという声を事前に聞けていたのもよかったですね。

夫婦は離婚したら相手にはもう会わないと、けじめや区切りをつけたくなります。でも、子どもにとっては親の離婚によるけじめはいらないんですよね。むしろ、離婚前と離婚後でできるだけ環境が変わらないようにしてあげることが大事なんだなって確信しました。

ー共同養育をしていてよかったと思えることは?

なにより、娘の表情を見ていると「やっていてよかった」と思えますね。パパとママが別の家というよりは、別の部屋にいるような感覚で部屋を行き来している感じになれているようにもみえます。

あとは、私が仕事など予定があるときにも子どもを留守番させずに済みますし、私自身も自由な時間ができることは正直なところかなり助かってますね。元夫に感謝しています。逆に共同養育をせずにひとりで育てている方たちはすごく大変だろうなって思います。


ー別居離婚後の子育てに悩んでいる方へなにかメッセージはありますか。

相手に子どもを会わせたくないという気持ちはわかります。女性は子どもを育てる本能のひとつに「敵から子どもを守りたい、敵から離したい」が強くあるかもしれません。そのため離婚したら「相手と子どもを会わせたくない」と思いが強まるかもしれません。

私のように前もって共同養育の知識があっても迷ったりしんどい時があったので、知らない人は余計に会わせることに後ろ向きになりますよね。

ただ、自分の感情と子どもの育ちは分けて考えた方がいいと私は思います。「相手の親の存在を否定してはいけない」と多くの本に書いてあります。子どもの成長において、親に会わせないことはデメリットがあるということ、会わせることにデメリットはなくメリットが大きいということを早いタイミングで知る機会があればいいなと思っています。

一方で、夫側の立場の方へは、妻を責めたり攻撃的な言葉を伝えないでもらえるといいなって思います(自戒もこめていますが)。同居親の妻側は時間も気持ちに余裕がない中、批判されると「もう無理!関わりたくない」と余計に頑なになると思います。

それよりは、育児をサポートする姿勢を見せたり男親ならではのアウトドアなどの提案をしたりすることで、「助かる」と思えるきっかけができると妻側の硬くなった気持ちも和らいでくると思います。

あとは、「ありがとう」など、ささやかな挨拶をすることで重苦しくない空気をつくっていくことでしょうか。


ーこれからの子育てやご自身のビジョンなどあれば教えてください。

私の経験がひとりでも多くの離婚や別居をする親御さんのお役に立てるといいなと思います。こんなに関係が一時悪化して調停が長引いた親同士でも、共同養育はできるし、離婚した後の親同士の関係を新しい形でつくりあげつつあります。

共同養育ってやってみると面白さや発見もあります。これからも、固定観念にとらわられず子どもが成長するまで共同養育して、子どもを真ん中にした家族の新しい形の広がりを楽しんでいってみたいですね。

子どもにとってはもちろん離婚によって失ったものもあるけれど得たこともあるかもしれません。人の輪もどんどん拡がっていくような可能性を感じます。

そして、職業柄、美容や健康に常に関心があります。健康って食事や生活習慣で本当に変わってくるんですよね。シングルマザーになるといろんな人に支えられていることにあらためて気付かされるので、仕事を通して健康の大切さを伝えるなどして、世の中に恩返しをしていきたいですね。

企画:一般社団法人りむすび

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