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条件を決める前にこじれた気持ちをほどく|円滑な共同養育実践に向けて


こんにちは。しばはしです。
活動を通して常々感じていること、あらためて書き留めます。

父母間の葛藤を下げたうえで、面会交流の頻度などの条件決めに進むと、スムーズかつその後の拡充もしやすい。
お互いが相手の意向に耳を傾けらない心境のまま、条件先行で強引に取り決めすると、係争は長引き関係はより悪化し、共同養育するための話し合いのはずが、別居前よりも対立構造は深まり、共同養育できない関係に変わり果ててしまう。


相手なにを考えているのかまったくわからない…
ご依頼者の多くはこのような思いではがゆい思いをされています。


私も調停離婚をした身ですが、直接やりとりができないがゆえに、気持ちを伝えることができず、結局「誠意を持って謝ってほしかった」というシコリを残して離婚に至り、その葛藤を抱えたまま離婚後の時が過ぎていったことを思い出します。
わが家は夫が家を出たケースで父子交流は続けていましたが、そばにいる私が露骨に嫌そうな素振りをすることが息子を苦しめてしまうことになりました。

それゆえ、私たちりむすびは、共同養育をすることができる関係になれるよう、父母の気持ちの架け橋となり、葛藤を和らげるための心のサポートを大切にしています。

父母どちらか片方の親御さんからのご相談の時もあれば、父母両方と関われる機会を持てる場合には各々とのご面談、さらには父母とりむすび三者でのカウンセリングを行うことも。

ここでいう、“父母両方と関われる機会”については、例えば係争中で顔を合わせられない高葛藤ケースの場合には、面会交流支援がその機会のひとつとなります。

面会交流支援は団体によって特徴はさまざまですが、決められた条件下で面会交流が安心して実施できるよう、日程調整や現場でのお子さんの受け渡しや付き添いをさせていただくのはもちろんのこと、りむすびの支援はそれだけではないと思っています。

父母それぞれとりむすびとの信頼関係のもとで対話を深めながら、お相手への不信や不安に寄り添い、ご自身の想いや意向を整理し、父母が気持ちのかけ違いを解消できるよう、やがてふたりの親としての信頼関係を築き、安心して面会交流を拡充していけるようイメージしながらサポートすることをとても大切にしています。


父母ともに共通するのはこのような思いではないでしょうか。

・相手が何を考えているのかわからない→不安ばかりが膨らむ
・自分の気持ちを相手にわかってほしい→伝わった感触がほしい
・争いたいと思っていない→争う以外の方法がわからない
・早く係争を終わらせたい→お金も時間もメンタルも想像以上に消耗してしまう

争いたいなどと思っていないはずが、係争中だと気持ちのやりとりができていないがゆえに、相手への疑心が募り関係が悪化してしまうのも無理もありません。


係争中のご夫婦の間に立ち、このような思いに触れると「実にもどかしい」と感じてしまいます。

本来、調停の場で、気持ちの仲介を重んじ、葛藤を和らげることができれば、取り決めもしやすくなるのですが、なかなか叶う場所ではないのが現状です。


先日、法制審議会家族法制部会でヒアリングを受けた際にも、気持ちの整理の必要性をお話してきました。すでに公開されている資料の一部ですが、①〜③ができれば、④〜⑥はスムーズなんですよね。

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もっというと、①〜③ができていれば、第三者機関を使わなくても面会交流さらには共同養育が実践できるようになりうると思っています。
取り決め前のカウンセリングなどの支援を充実させることで、第三者機関を使わずに済むご家庭が増えることを考えていくことが大事なのではないかと思わずにいられません。

だからこそ、りむすびへご相談にみえる方へは、今後の取り決めをどうしていくかと考える前に、これからもふたりの親としての関係が続いていくことを見据え悪化することのないよう、同居生活中をふりかえり、ご自身にできることを考えられるようお伝えしています。



さて、ここでひとつ課題があります。
私たちが重んじている"気持ちの架け橋" において気をつけなくてはならないのが非弁行為。

それぞれの気持ちを分解していくと、"ここを伝え合って解消すれば風通しよく親同士の関係になれるのでは?”というポイントがいくつも見えてくるのですが、交渉できる立場ではないため、ご本人のご意向を連絡役としてお相手に伝えるまでとなるわけです。

まったく伝わっていない状態よりは何歩も前進するのですが、かといって場を仕切る立場ではないため、父母ご本人、そしてそれぞれの弁護士との連携も肝になると実感しています。

実際、風通しよく連携することで不毛な争いを回避し、共同養育ができる関係づくりにいたるケースもあります。

弁護士と第三者機関の役割分担。
通常は司法の場で決めたことを決まったとおりに第三者機関が引き受けるといういわば主従関係になるのですが、実際現場で父母そして子どもの様子を見て、感情に触れているのは、唯一第三者機関なのではないかと思います。

ご依頼者、代理人、第三者機関が、親同士が争わない環境で離婚家庭の子どもが両親の愛情を受け続けられる共同養育の実現を目指し、臨機応変に情報共有し協力し合えると、親の葛藤を下げたうえでの取り決めがなされ、親同士の関係も快方に向かう可能性は高くなるわけです。


子どもは自由に両親と会えることはもちろんのこと、親同士が争っていないことをなによりも願っているはずです。
今後も、親同士が争わない共同養育に向けて必要なサポートとはなにかを、ブレストしながら考えていきたいです。


よろしければサポートをお願いします。いただいたサポート費用は共同養育普及に活用させていただきます!