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母と妹に会えずに40年以上 子どもが親を知る機会を奪わないで〜高松登茂江さん〜


こんにちは。一般社団法人りむすびです。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集。
今回は、ご自身が離婚家庭に育ち母親と会えないまま現在に至る高松登茂江さんをインタビューしました。

■プロフィール


お名前:高松登茂江(たかまつともえ)さん

奈良県出身。幼少期に両親が離婚し、自身は父親に、妹は母親に引き取られ、以来一度も会えず現在に至る。
離婚後、父方の祖父母のもとで育てられ週末に父親が来るという生活が続く。7歳の時、父親の再婚を機に父親と継母のもとで一緒に暮らし、19歳で上京。
現在は、7歳と3歳の二児の母として日々子育てに奮闘中。


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■当時、両親の離婚や再婚をどのように受け止めていましたか。


離婚したのは幼少期だったのでよく覚えていませんが、祖父母の家で育てられ週末だけ父親が来るという生活が続きました。入学式を終えたある日、父親から突然引越しを告げられ、父親と継母と暮らすことになりました。私の出来が悪く、躾がなっていないと怒られる日常でした。中学生の頃からは常に居場所がない、必要とされていないと感じて過ごしていました。

ある日、継母が両親の離婚の理由を教えてくれたんですよね。理由は母に原因がありました。私としては、母に原因があったことよりも、「私のせいではない」「私が捨てられた訳じゃない」ということがわかって安堵したことを今でも鮮明に覚えています。


■母親に会いたいと思っていましたか。

幼少期から会えないまま、義母が母親として育てられてきましたので、「実の母に会いたい」という思考すらありませんでした。
自分は必要とされていないと思いながら育ってきたので、実母からも必要とはされていないだろうと思っていましたし、自信もありませんでしたし、会いたいと思ってはいけないと思っていたかもしれません。

■父親へはどのような思いがありますか。


高校生になった頃から、「会いたい」というより「知りたい」という願望はありましたね。
2年前くらいでしょうか。父親へ「母のことを知りたい」と伝えたら、「なんで今更」と口論になってしまいました。挙げ句の果てに父から送られてきたのは離婚裁判の書類。
私は単に母親を知りたいという気持ちだけだったのに、向き合うことのない父親と噛み合わなくなり、今は父親と縁を切っている状態なんです。
父は母の存在を消そうとしましたが、私にとっての母の存在を勝手に消してほしくなかったです。

義母と私の関係においても、間に入ることをしてくれませんでした。義母も不満があったのだろうと思います。義母は自分の気持ちを正直に話をしてくれる人でしたが、父は私の気持ちを一度も受け止めてくれたことがなかったので、今でも許せない思いがあります。

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■子どもを相手に会わせたくないと思っている方に伝えたいことはありますか。


私も親になっていろいろ思うことはあります。夫婦がこじれて会わせたくないという感情になること自体は理解できなくもないです。たとえば、私がずっと育児をしてきたのにいきなり親権をほしいと言われたら奪われたくないと思うのは当然のことかもしれません。

ただ、子どもとは別人格です。子どもは別の人生を生きていることを知ってほしいです。自分の感情と子どもの感情を同一化させてはいけないですね。
親って子どもへは何をしても自分のことを許してくれると思っているところがあるように感じます。だけど、子どもには子どもの気持ちがありますよね。

また、会わせることになにが不安なんだろうとも思います。もっと自分の子どもを信じてあげてほしいです。会わせたくないのであれば、子どもが納得いくよう理由をきちんと子どもに話してあげることも大事です。子どもは何も話してもらえないと親から信じてもらえていないと思っていくものです。


■子どもに会えていない方に対して伝えたいはありますか。


親なのに子どもに会えないというのは想像を絶するほど辛いことだと思います。
ただ、子どものためにもどうか会いたいって思い続ける気持ちを諦めないでほしいです。

私は法律や取り決めなど関係なく会いたいという行動をしてほしかったです。勝手にさらってほしいということではありません。自分という存在をアピールして、子どもがいつか見つけられる方法や離れても状況を知ろうとしてほしいということです。
もし、今は会えなかったとしても、いつか子どもに会える時のために日記に気持ちを書いたりしていてくれたら嬉しいですよね。

あとは、相手を敵視するのではなく、気持ちを理解するように努力してほしいとも思います。会わせたくないと思うほどの気持ちはどこから来るのかと。子ども抜きでまず考えてほしいです。そして、一緒に住んでいる親の意を100%汲みますから焦らないでほしいです。

親は子どもに対して「人の気持ちを思いやること」と躾をするにもかかわらず、自分自身は違う意見をシャットアウトしたり攻撃しがちです。そのような姿を両親の不仲で示さないでほしいですね。

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■さいごに、読者の方へメッセージをお願いします。


どちら側の親であっても、子どもの声を聞いてほしいし知ってほしいと思います。子どもが親の気持ちを肌で感じ取って言葉を発するようになる前に、自分の気持ちを言っていい、そんな関係性が親子で成り立っていてほしいです。

私はいつも「大丈夫」と言う癖がつきました。それが望まれている答えだとわかっていたから。しんどくても辛くても、本当の気持ちを聞きたいのではない、大丈夫と言ってほしいのだと。

離婚がいろんな形があるように、子どもにとっても不幸なこととは限りません。私にとっては離婚、再婚は自分の存在をなくす事であり、大人になってもその延長上にしか生きてこれませんでした。長男を産んだのは39歳です。それまで前向きな振りをした、でも行き当たりばったりに生きていました。子どもを産む覚悟をして、やっと自分を愛せるように訓練しました。

子どももいつか大人になるんですよね。でもその時にどんな大人になるか、よくも悪くも子どもの時に見続けた親の姿を忘れません。子どもの未来は繋がっています。離婚そのものよりも、その後の姿が子どもには残っていくことを知ってほしいです。


企画:取材 一般社団法人りむすび

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