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離婚しても何も変わらない子育てとは。〜地域の中で子どもと一緒に育ち合う〜


こんにちは。一般社団法人りむすびです。
離婚後も両親で子育てする共同養育を実践しているパパママのインタビュー記事「共同養育man&woman」特集。

今回は、離婚前から元夫と話し合いを重ね、お子さんを中心に会いたい時に子どもと会える関係を築いている七緒美さんにインタビューしました。


プロフィール

お名前:七緒美さん
お子さんの年齢性別:13歳(中学校1年生)男の子、8歳(小学校2年生)女の子。
都内在住。22歳で妊娠し結婚。23歳で第一子を出産。二児をもうけたものの2016年に離婚。
現在、NPO法人プレーパークせたがやの運営に関わりながら、高校生の時から行っていたシッターや、シングルマザーなどのシェアハウス“マナハウス”にて、週一回夕飯づくりを担当する。同じ区内という近い距離にいる元夫とは、休みの日などに子どもたちと過ごす時間を継続中。

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まずは離婚にいたった経緯について教えてください。


元夫はシャイなところがあって淡白に見えるタイプ。家事や育児に自発的ではないけれど、旅行やキャンプでは頼りになるし、同じ趣味では一緒に遊べて楽しい人なんですよ。

ただ、結婚生活中、お金の管理をすべて元夫が担っていて、私自身いつの日からか遠慮したり言いたいことが言えなくなってしまっていました。
たとえば、コンタクトレンズを買おうとか、風邪薬を買いたい時に、「お金をください」ということが言えなくて。
脅迫されていたわけではないけれど、理詰めで話されると押さえつけられるような無言の圧を感じてしまい、思ったことが全然言えなくなっちゃったんです。

日常生活で直してほしいことを伝えても、最終的に謝っているのが毎回自分。私が話についていけなくなってしまう状況で、最終的に私が悪かったのかな、と思うようになっていました。

彼が謝ることは少なくて、日々蓄積されていくモヤモヤに、「本当にこの人といていいのかな?」という思いは常にあったと思います。そういった関係性が続くなか、色々ときっかけになることがあり、離婚しようと決めました。

喧嘩している姿を子どもに絶対見せたくないから、話し合いは子どもたちが気づいていない間にすべてふたりだけで進めましたね。最終的には、当時小学生だった長男に、ふたりで説明をし、「こんな状況になってしまってごめんね」と話しました。


元夫とお子さんたちとの関係性は良好ですか?

いいお父さんだと思います。子どもたちは父親のことが大好きなんですよね。離婚前も離婚後も子どもと父親との関わり方は全く変わっていないので、息子は「何も変わらないね」と言っています。この点はよかったなと思います。

元夫は、離婚した後の方が子どもに対してさらに優しく丁寧に関わっているようにも見えます。1日1日を大事に感じているのかもしれませんね。

4人で住んでいたときは、私が中心で動いていて、旅行やキャンプ、スノボとかに仲間を誘って大勢で行くこともよくありましたし、今も行っています。そういう時の元夫はとても気が利いて、子どもはもちろん私も彼を頼りにしている部分はいまだにありますね。


離婚すると決めた後、今後についてどのくらいの期間で決めたのでしょうか?

一年以内に話をまとめました。「私はこう思っているけど、あなたはどう?」というような対話の方法を私から提案していきました。
元夫は口数が多くないタイプで、私を傷つけないようにと言葉を選びすぎて言語化できなくなっているように見えたので、「今のこの状況についてどう感じているのかとかでもいい、感情を箇条書きでもゆっくりでもいいから伝えてほしい。」と繰り返し伝えていきました。


相手にとっても私にとっても、そしてなにより真ん中にあり続ける子どもたちにとってもよい環境を整えるためどうするか?という話し合いを重ねたので、感情的に声を荒げることなどは一切なく冷静に話し合えましたね。

私自身、親権とかにこだわっていなくて。親権は彼の方にあるんです。大事なのは子どもをメインに育てる場所や環境のこと。どっちの家で育てる?とか、育てる環境や養育費のことなどを取り決めしました。

姓字についても、親も含めて他人が簡単に変えてはいけないと思うんです。なので、もちろん変えていないですし、子どもたちが高校生がになったら、自分の意志でどうしたいか決めてもらえばいいかなと思っています。


ふたりだけで話し合うとき、誰かに相談はされましたか?


離婚したことは親にも事後報告です。ひとりだけ信頼できる知人に相談をしたくらいです。子どもを真ん中に置いて考えていたので、とくに調べものなどもしていなくて、子どもにとっての理想を考えて話し合いました。

だれかに相談することで、又聞きで子どもに伝わるのがいやだったし、自分の子どものことは自分たちで決める。離婚に関わらず、人生において重要なできごとは、最終的には自分で決めることが多いですね。


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相手に子どもたちを会わせたくない、とは思わなかったのでしょうか?

すべてを子ども視点で考えていたので、「ただでさえ、子どもは親の離婚でモヤモヤしるから、そのモヤモヤを気づいてくれる大人が周りにいた方がいいと思う。あなたのもとだと環境が大きく変わると思うし、一緒に遊ぶ仲間も変わってしまう。私のもとにいれば生活環境は変わらない。ただ、成長していくなかで逃げ場になってほしいと思うから、いつでも会える場所にいてほしい。」ということを伝えたと思います。

親は傷ついてもいい。私と彼が乗り越えるものであり、親の離婚で傷ついている子どもをこれ以上傷つけることをしたくなかったんです。
子どもにマイナスだったら会わせないけれどそれはなかった。彼は私の悪口を言う人でもないし、そういう人だってわかっていたので。


離婚後は、元夫さんや周囲とどんな関係を築いていますか?

一緒に住まなくなっただけで、休みの日は一緒に過ごしています。旅行は全部一緒に行きますし、仲間と行ってるのはいまも一緒です。いつも私が企画して、私の知人とかを誘って大人数で行きます。

お互い気遣いはしますけど、周りには「元旦那です!」って紹介していますし、元夫も「はい、元旦那でーす!」って言っています。(笑)
友人には、「いつの間に離婚してたの?こないだも一緒にいたよね?」って言われることも多いですね。


お子さんたちは、いまの状況をどう捉えていますか?

長男には、離婚する際に「パパとママ、お互いのことは嫌いじゃないけれど、奥さんと旦那さんという関係では楽しく住めなくなっちゃって、毎日喧嘩しちゃうからいやなんだ。だから別々で住みたい。でもお父さんとお母さんでいることは変わらないから」と、伝えました。

子どもの前で喧嘩をしないと決めていたのですが、このまま一緒に暮らしていたら、喧嘩を見せてしまう気がして、そのことを回避した感じですね。

息子は当時2年生で、「わかった、いいよ」と。日曜日になればパパに会うし楽しく遊ぶ。親同士も仲良くしているし、お互い頼りあったりもしています。
そのせいか、子どもは、また元にも戻るのではないか?思ったようで、その思いを伝えてきたことがありました。そのときは「オブラートに包んだ説明をして本当にごめん」って思いましたね。子どもの思いをきちんと受け止めて、洗いざらいなんでも話すようにしました。

娘もいま小学校2年生になって、私たちの離婚理由を聞きたいと言ってきたので話しました。子どもに聞かれたら、きちんと応えることが大切だと思います。
隠し事は子どもにはしないようにしているし、もしも友達に親の離婚について聞かれたら、「自分にウソをつかず、言いたければ話していいし、言いたくなければ言わなくていいんだよ」と伝えています。

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離婚前後で関係性について変化はありましたか?


離婚した後の方が関係性は断然いいですね。結婚生活中は明らかに向こうがお金を稼いでいたので、私が上下関係を感じてしまっていた状況でした。それがフラットな関係になりました。もともと遊び仲間だったので、元に戻った感じ。
お互いちょうど良い塩梅を探して、気遣ってる部分もあるからうまくいっているんだと思います。

キャンプとか「こういうときにどうする?」という時に、それまで培ってきた阿吽の呼吸があるんですよね。やっぱり元夫婦だなと思いますね。

離婚後の関係って、感情はさておき親が覚悟するしかない。私が我慢すればうまくまわることもあります。ただ、親が離婚した子どもたちの気持ちを想えば、そんな努力は大したことではないですね。

私、人との関係ってアンパンマンバイキンマン方式だと思っているんです。アンパンマンってバイキンマンの人間性は否定していないんです。行動を否定しているだけ。歩み寄れない人はいないと思うし。自分にとって難がある人だと思ったら、自分がどうしたら歩み寄れるかを考える。

元夫のことは人として嫌いじゃないんですよね。なんでもその時に起きたベストを考えていけたらと思っています。子どもには、「私も離婚なんてしたことないからわからない」と正直に伝えるし、元夫にも「どうしていくのがいいのかを一緒に考えて」と言っています。
私と長男が喧嘩した時には、私から元夫へ泣きの電話を入れることもあるんですよ(笑)。元夫は私を労りながら、長男に対して寄り添ってくれたり一緒に考えながら助け合ってます。

いつ自分が死ぬかわからない。そう思ったときに子どもたちを不安にさせたくない、安心できる人をどれだけ子どもの周りに残せるか、それくらいしか親ができることなんてないと思っているんです。
だから、子どもにとって父親が脅威的存在でなければ傍にいてもらった方がいいよってことです。

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子どもを相手に会わせることに後ろ向きな同居親さんに向けてメッセージをお願します。

子どもはひとりで育てるものでもないし、血がつながっている人間だけで育てるものでもないと思います。元夫だからとか子どもの父親だから関わらせるのがいやと思ってしまうのであれば、まずは、地域にいる大人のうちのひとりと思ってみてもいいのではないでしょうか。

会わせたくないのって、離婚後築いてきた子どもとの関係性とか、会わせたことで子どもが不安定になったらどうしよう、っていう思いがあると思うんです。さらに、相手に対して信頼もないから難しく感じてしまうんだと思います。
信頼がない夫や父親というフィルターを外すのは難しいけれど、まずは大人のひとりと思えばいいんじゃないかなと。

それから、心配なら一対一じゃない場にするのも手だと思う。自分たちの遊びの空間に相手を混ぜるとか。相談できる友達がいるなら、自分たちの状況を話して、一緒に遊んで!と協力をしてもらうのもアリですね。そうすることで相手も居場所を見つけやすいし、こちらも安心できるのかもしれません。


いま現在、お子さんに会えていない別居親さんに向けてメッセージをお願いします。


会いたいって気持ちだけではなく、子どもにとって自分が会いたいって思ってもらえるようになることが大事なんだと思います。会いたい、は自分が中心の考えで、子ども側や相手側にも立てていないから。

ただ、子どもと会う時に物を買ってあげるのがあたりまえになると、そのことが目的になってしまってむしろ逆効果になるんじゃないのかな。必要なものは子どもだけではなく相手にも相談したりして買ったりする方がうまくいくと思うんですよね。
最近の子どもの様子を聞いたり、「子育てのことで自分にできるサポートは何かある?」とかを聞いてみる。相手から「この人の存在が近くにいてくれると助かる」って思ってもらえることも大切なのではと思います。

自分目線の中に子どもを引っ張るのではなく、子どもたちの目線のなかに入っていくことが大事なのではないでしょうか。

企画:一般社団法人りむすび

インタビュー・記事:江島るな子

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