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離婚するとひとり親?!行政によるひとり親家庭支援の現状と課題

お子さんのいるご家庭で離婚をすると、金銭面での補助をはじめ行政からさまざまなサポートを受けることができます。経済的に不安な人も多いなか、とてもありがたい取り組みですね。

ただ、子どもにとっては親が離婚しても、片親がいなくなるわけでも親がひとりに減るわけではありません。ひとり親で育てる前提のサポートだけではなく、子どものきもちを汲み取った上での離婚家庭へのサポートはまだまだ足りていないのが現状です。今後、どのような取り組みが増えていくとよいのでしょうか。


ひとり親家庭支援の現状

行政では、ひとり親家庭に対して多くの支援制度があります。
児童扶養手当、就労支援、住宅支援、医療費助成、税軽減など・・・。他にも、所得制限はありますが、通勤定期の割引や、水道、下水道料金の減免、粗大ごみ等処理手数料の減免といった手当を受けることもできます。
主に経済面を重視したサポートが多く見受けられますね。実際、ひとり親家庭の貧困率は50%を超えており、こうした経済的支援は今後もますます必要とされるでしょう。

|もうひとりの親は無関係?
離婚すると子どもと会わないという親がいる一方で、会いたくても会えない離れて暮らす親(別居親)も数多くいます。
離婚で親が別れても、子どもにとって親は親。親子であることは変わりません。離れて暮らしていても親として子育てに関わりを持つことが親としての役割でもあり、子どもと暮らす親(同居親)は別居親と子どもの架け橋となる役割があるといえます。

面会交流の現状と子どものきもち

厚生労働省の統計によると、離婚件数は年間約23万件、うち子連れ離婚件数は年間約13万件。そして、離婚家庭の子どもは年間23万人、うち離れて暮らす親と会えなくなっている子どもは毎年16万人ずつ増えています。人数の多さに驚かされますね。

親の離婚によって、ある日突然別居親と会えなくなり、同居親に会いたくても会いたいと言えない状況に追い込まれる子どもも多く見受けられます。同居親を傷つけないように、機嫌が悪くならないようにと、小さいながらに一生懸命空気を読んで言葉を選びながら本心を言えずに育っていく子も少なくありません。

|面会交流をしないデメリット
子どもはに会えないまま育つと、他人との信頼構築に不安を覚え、不登校や引きこもりになりやすいなど、子どもの成長にとって多くのデメリットがあるともいわれています。
また、同居親にとっては面会交流を行わないことによって、子どもが成長した時に信頼感が低下したり、父親との関係がさらに悪化したり、ひとりで子育てをすることの負担により疲弊したりするといったデメリットも多くあります。

|面会交流をするメリット
かたや、継続的に別居親と会えている子どもは、愛情確認ができアイデンティティが確立することはもちろんのこと、両親と共に過ごすことで得られる知識や体験が糧となり、人間的にも大きく成長するといったメリットもあります。

また、自分のせいで親が別れてしまったと責める子も少なくありません。そのような不安を抱かずに安心して育つためにも別居親と継続的に会える環境が整っていることが重要といえます。

同居親にとっても、面会交流を行うことは、ひとりの時間が確保できたり、自身にもしものときに子どもが頼れる場所が確保できたり、そしてなにより、養育費が確保しやすいといったメリットも多くあります。

|面会交流している方が養育費支払い率もアップ
実際、継続的に面会交流を行っている家庭の方が会っていない家庭に比べ養育費支払い率が高いのも現状です。頑なにひとりで育てようとせず、子育ての分担を任せることで経済的な安定もはかることができます。

行政は共同養育へのサポートを

現状の行政では、ひとりで育てることを前提とした支援を主体としていますが、離婚しても両親で子育てするサポートができるような体制づくりに取り組むことも必要です。

まずはなにより、「離婚家庭がひとり親で育てるための支援」から、「離婚しても両親で子どもを育てる(=共同養育)ための支援」という概念を取り入れていくことです。

具体的には、行政の職員や相談員が共同養育という観点での支援の選択肢を増やすこと。
「離婚したい」と相談にきた方に対して、全て弁護士につなぐことがベストなのか、相手がモラハラだという理由はすべてDV=警察をつなげることがベストなのか、もちろん身体的な暴力等がある場合には適切な対応が求められますが、逃げ隠れしなくてはいけないケースばかりではなく離婚したい理由は千差万別です。

りむすびには、子どもに会えない、会わせたくないという夫婦のもつれにより、裁判で争いが激化している方が多くおみえになります。明らかに別居前よりも関係が悪くなっています。弁護士や警察につなげた先にどのような未来が待っているのかを相談員の方々が知っていただける機会をつくることが必要ですし、なにより、子どものためにも親同士が現状以上に関係を悪化させないためのアドバイスの仕方を知っておく必要があるのです。

どのような未来が待っているのか、どのようにアドバイスをするとよいのか、については、りむすびでは行政の相談員向けの研修に取り組んでいます。(このことについては別途noteに書きます)

|社会問題解決の糸口にも
離婚後の共同養育を実施することで、母親は自由な時間を確保することができ、仕事をはじめ自己実現にも専念できます。シングルマザーでも経済的に自立し女性の社会進出への可能性を見い出します。
また、万が一離婚後のパートナーからの子どもへの虐待などがあった場合にも実親が関わり続けていることで異変に気付ける可能性もありますし、子どもにとって逃げ場になれるかもしれません。
さらには、共同養育することで安定した養育費確保をしやすくなり、ひとり親家庭の貧困といった社会的問題を解決する糸口にもなるのではないでしょうか。

さいごに

大切なのは子どもの健やかな成長です。行政をはじめ社会全体が、「離婚すると親はひとり。ひとりの力で頑張らなくてはいけない」という固定観念を払拭し、子どもにとって大切なのは、離婚しても親子関係を継続させることだと認識をすること。そして、離婚してもふたりの親が育てる共同養育へのサポート体制が築き上げられていくことに期待したいですね。


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