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「子どもの頃の気持ちを忘れないで」 親のエゴで子どもを所有物化してはいけない 〜岡田沙織さん〜

こんにちは。一般社団法人りむすびです。
離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集。今回は、ご自身が離婚家庭で育った経験があり、離婚再婚を経て共同養育を実践し、現在若者の支援活動を行っている岡田沙織さんをインタビューしました。

■プロフィール
お名前:岡田沙織さん
お子さんの性別・年齢:20歳長男(社会人)、16歳次男(高校1年生)、26歳養女(社会人)

NPO法人若者メンタルサポート協会理事長
アシスターズプロジェクト理事
こどもの笑顔をつくる会副会長
若者カウンセラー
過去の傷を自身に帰るメンタルコーチ
渋谷クロスFM「岡田沙織のひとりじゃないよ」パーソナリティ 
著書「あなたは何も悪くない」サンマーク出版

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■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。

息子たちは元夫の家と私の家を自由に行き来しています。私が再婚してあらたな生活をしていることもあり、どちらかというと元夫の家の方が拠点になっている感じですね。

元夫と私は 、たまに息子たちの進路や相談事などをやりとりすることもありますが、ほとんど息子たち本人が直接父親と連絡を取っています。

離婚しても父親であることは変わりないので、私は離婚当初から会わせたくないといった感情は一切なかったです。むしろ、離婚後会えなくなっている親子がいることを知り、衝撃を受けました。


■共同養育をするようになった経緯をお聞かせください。

13年前に離婚し幼子2人を育てていたのですが、ワンオペ育児に限界が来て元夫の近所に引っ越したんです。その後、経済的な事情も重なり、7年前に元夫の家に同居する選択を取りました。

子どもたちに寂しい思いをさせずに済んだのはよかったですが、元夫婦が親同士として同居することは決して簡単なことでありませんでした。当時は口論も続きましたし精神的によいものではなかったですね。

同居生活を数年続けたのちに、私が再婚して元夫の家を出る形でリスタートしました。私は子どもたちになんでもオープンに話すので、再婚相手を息子たちに紹介し「どう思う?」と相談しましたね。子どもたちも再婚を応援してくれました。 

再婚後、息子たちは自由に行き来していましたが、私は元夫とはほとんど連絡を取っていませんでした。そんななか、長男のことでどうしても相談することがあり連絡を取ったのがきっかけで、今では親同士気兼ねなく話せる関係になりました。

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■共同養育するにあたり困っていること、困っていたことはありますか。

息子たちがまだ小さかった時は、父親と会って帰ってくると鼻水を垂らしていたり冬なのに上着を着させていなかったりなど、一言いいたくなるような場面もありましたね。些細なこととはいえ、毎日子どもを育てる立場としては子どもたちの健康管理は重要なこと。
ただ、息子たちは楽しんでいたし、いちいち小言を言わないように気を付けていましたね。


■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。

一緒に育てている意識を持ち続けてくれていることがありがたいです。息子たちにこれからも変わらず愛情を注ぎ続けてほしい、ただそれだけですね。

息子たちは今でも父親に少し遠慮があるのか、なんでも相談できるわけでもなさそうです。私が若者のメンタルサポートをしていることもあり、なにかあると息子たちは私のほうが色々話しやすいんだと思います。父親とも本音で相談できる関係になっていくといいなと見守っています。


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■共同養育はどんなメリットがありますか。 お子さんはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。


子どもって大人よりよっぽど大人だったりしますよね。わが家では息子たちが父親の成長を見守りながら父子愛を育んでいるようにも伺えます。

私は幼少期に両親が離婚し、父親と会えない環境で育ちました。兄弟も親戚もいなくてただただ寂しかった記憶しかありません。親からもう片方の親の悪口を聞かされたりするのは本当に辛いものです。

私の息子たちに限らず、子どもたちにそんな辛い思いをさせてはいけないですし、親が離婚しても両親から愛されていることを実感できる機会を奪ってはならないですから、共同養育はメリットというかあたり前のことだと感じています。


■お相手との関わりにおいてご自身が心がけていることはありますか。

元夫とのやりとりは子どもたちの話がメインで、会ったり電話したりはなく、LINEで話すだけです。

あとは、大事なのは感謝を伝えること。再婚後、久々に連絡した時にあらためて感謝を伝えたら元夫が謝ってきてくれたんです。そこから関係が良くなったこともあり、これからも事あるごとに感謝を伝え続けていきたいですね。

一方で、再婚相手への気遣いも心がけています。再婚初期の頃、再婚相手は私たちの元家族に対して疎外感があったのか、息子たちと元夫との交流に対してやや消極的だったんですよね。息子たちも再婚相手へ父親の話をしないようにしていたり、私も不必要に元夫のことを話題に出すことは控えていました。

息子たちによる再婚相手への歩み寄りもあり、今ではとても良い関係を築けるようになりました。次男が卒業式に父親だけではなく再婚相手にも来てほしいと手紙を書き、再婚相手が学校行事に初めて来てくれたんですよね。その時に次男が再婚相手の前で初めて泣いたんです。いろんな感情があったのでしょう。それを機に一気に距離が縮まったように感じます。

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■子どもたちに向けてどんな思いがありますか。

子どもたちにはとにかく自由に生きていてほしいです。子育ての原点は信じて見守ること。元夫は私の育て方に同意してくれているので、子育てで困った時があると相談してくれます。両親がお互い分担しながら子どもに関わり続けていき、子どもの自由を尊重していきたいですね。

私は離婚後、鬱になったこともあり、子どもたちを頼ってきたし子どもたちがいたから頑張って来れました。その分、迷惑もかけたし後悔もしています。もし今、育児をやり直せるのであれば、活動など全部やめて子育てに専念したいと思うくらいです。

私にとっては子どもたちが第一優先であり子どもたちの味方です。子どもたち、父親、再婚相手の全体のバランスを取っていきながら、みんなが心地よく過ごし、お互い大事な存在に思えるようなカタチをこれからも築いていきたいですね。


■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。
 

私は子どもの頃、居場所がなくてずっと探して生きてきました。現在、当時の自分のような若者たちを相談を受けるなどサポート活動を行っているのですが、ここ最近特に感じるのが、子どもたちの悩みは親が起因しているということ。親が変われば子どもの悩みも解決するんですよね。

とはいえ、親は親で辛いんです。頭ごなしに親を教育するのではなく、辛さを共感しながら親が満たされるための伴走も大事。今後は、親支援と若者支援の両輪に力を入れていきたいです。 

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■この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

悩みを持つ子どもたちは家庭環境が100%影響しています。たとえ片親ずつから愛情を注がれていても両親が不仲なのを目の当たりにすると情緒が安定しないんですよね。
離婚しないに越したことはないけれど、子どもがいるから別れないというのは子どもが望んでいることではありません。子どもたちはいつでも親のことを見ているし察するし応援しています。

ただ、離婚したからといって親子関係を引き裂いたり、親同士の不仲を見せることがどんなに子どもにとって辛いことなのかは、自分が子どもだったらと考えればわかること。子どもは持ち物ではないですし、子どもの声に耳を傾けないといずれ反抗や不登校といった形でにしっぺ返しが訪れます。 

私は今、支援をする立場になっていますが、最初からうまくできてたわけではありません。うまくいっている人の話を聞いたり本を読んだりして、どうか自分自身を追い詰めたり比較したりせずに、肩の力を抜きながら子どもと向き合っていっていただけるといいなと思います。

子どもたちはみんな親の気持ちを察していますし、顔色を伺ってます。そして言えない本音を心に抱えてることも沢山ありますが、それはお父さんのこともお母さんのことも本当はとっても大切で大好きだから。

みんな昔は子どもだったことを、ほんの少し思い出すだけで、お子さんが本当はどう思ってるのか?が見えてくることもあるかと思います。

今しかないお子さんとの時間を大切にするためにも、世界で一人しかいないお父さんとお母さんとの時間も大切にしていただけたらと思います。


企画・取材 一般社団法人りむすび

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