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世にも怪奇な物語

U-NEXT で、映画「世にも怪奇な物語」を観ました。
エドガー・アラン・ポーの短編小説3本を映画化したオムニバスです。

第1話「黒馬の哭く館」
原作:「メッツェンガーシュタイン」
監督:ロジェ・ヴァディム
主演:ジェーン・フォンダ

第2話「影を殺した男」
原作:「ウィリアム・ウィルソン」
監督:ルイ・マル
主演:アラン・ドロン

第3話「悪魔の首飾り」
原作:「悪魔に首を賭けるな」
監督:フェデリコ・フェリーニ
主演:テレンス・スタンプ

第1話の監督ロジェ・ヴァディムは、同じくジェーン・フォンダ主演のSF映画「バーバレラ」の監督です。
この当時、ヴァディム監督とジェーン・フォンダは夫婦だったみたいです。

第2話の監督ルイ・マルは「死刑台のエレベーター」の監督です。

第3話の監督は、「道」のフェデリコ・フェリーニ。
主演のテレンス・スタンプは、のちにクリストファー・リーヴ版「スーパーマン」でゾッド将軍を演じています。

3本とも、雰囲気重視の短編映画でした。
物語の起承転結を味わうタイプの映画じゃありません。
退廃的・性倒錯的・サドマゾ的なムードとビジュアルを楽しむタイプです。
エドガー・アラン・ポーというより、江戸川乱歩のエログロ通俗探偵小説みたいな感じでしょうか。

第1話は中世、第2話は近世、第3話は現代(1960年代)が舞台ですが、3本とも登場人物たちの服装が現代的……というより近未来的な感じです。
リアルな時代考証を最初から放棄しているというか、中世・近世の物語をリアルにつむごうという意思が全く無いんですね。

とにかく3本ともデザイン重視で、ヨーロッパ上流階級の退廃や性倒錯をスタイリッシュに表現する事だけに特化しています。
中世が舞台だろうが、近世が舞台だろうが、そんなの関係ねぇ、とばかりに、1960年代当時の退廃的なスタイリッシュさで勝負しています。

ネタバレ無し感想

まずは、ネタバレにならない程度に各話の感想を述べます。

第1話
ジェーン・フォンダがエロッ!

第2話
アラン・ドロンがエロッ!
ブリジット・バルドーもエロッ!

第3話
テレンス・スタンプがキモッ!

……だいたい、こんな感じです。

ここから少しネタバレします。

(少し、間を空ける)

ネタバレあり感想

第3話は、「英語圏(アメリカ・イギリス)からイタリアに来た主人公が、イタリアの古い街並みの中で幻想(幻覚?)を見る」という、イタリアン・ホラーの定番ストーリーです。

背景のリアリティをわざと下げて「書き割り」的に抽象化する事で、幻想的な感じ・異世界っぽさを表現するというのも、イタリアン・ホラーっぽいです。

・アメリカ人・イギリス人=近代の象徴
・イタリア=中世の雰囲気を色濃く残す異世界
という対比は、まさにゴシック小説の伝統です。
イタリアン・ホラーの面白い所は、イタリア人監督が自ら「アメリカ人・イギリス人」の視点に立って、「奇怪で幻想的でエキゾチックなイタリア」を描写する点です。
なんか、倒錯的ですよね。

こういう倒錯的かつ典型的なイタリアン・ホラーを、ジャンル専門監督じゃなくて、かつて「ネオ・リアリズム」の旗手とうたわれたフェリーニが撮った、というのが面白い。

まりを持った少女(?)の気持ち悪さが際立っていて、良かったです。
洋風の砂かけばばあというか、子泣きじじいというか……

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