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ロスト・フライト

U-NEXT で映画「ロスト・フライト」を観ました。

面白かったです。
変な言い方ですが、落ち着いて観られるアクション映画でした。
観終わった時に「ちょっと地味だったかな?」という感じも有りましたが、全体としては満足できる映画でした。

客室乗務員の人、どこかで見たことあるなぁ、と思って調べたら、ネットフリックスの実写版「カウボーイビバップ」のフェイ役の人でした。
ダニエラ・ピネダ。

しばしばアクション映画の中に挿入される「おちゃらけ演出」って、僕、あんまり得意じゃないんですよ。
例えば、コンビ刑事ものとかによくある、

刑事A「ヒュー! 危ねぇ! 勘弁してくれよ、相棒!」

刑事B「やれやれ、そいつは、こっちのセリフだぜ、ブロォ!」

みたいな感じのいきな会話、小洒落たセリフって、なんか小っ恥ずかしくて聞いてられないんですよね。

その点、この映画の登場人物は、みんな真面目に状況に向き合ってます。
変に気の利いたセリフやら、軽口やらを叩こうとしていないから、物語に集中できます。

護送されていた犯人がクドクドと昔語りをせずに、
「たまたま間違った時、間違った場所に居ただけだ」
っていう1行で身の上話を済ませるのも、アッサリとして良かったです。

1980年代後半から90年代にかけて作られていたアクション映画の手触りがあって、なんだか懐かしい感しがしました。
例えば「ダイハード」とかに近い手触りです。
何なんだろう? この懐かしさは……って思いました。

映像の派手さよりも物語の組み立てを重視している点が、往年のアクション映画を連想させるのでしょうか?
物語の冒頭で非常に困難な状況を作り上げて、その状況を主人公たちが知恵を使って1つずつ打開していく。
その過程に伏線を忍ばせて、クライマックスで回収する。
前線でサバイバルしている主人公たちとは別に、遠く離れた本国には作戦指令室があって、そちらはそちらで並走するようにドラマが進行する。
戦闘アクションには一定のリアリティがあって、いたずらにド派手さばかりを追求しない。
20世紀のアクション映画って、こんな感じでしたよね。

さて、ここから少しネタバレに入ります。

字幕:ネタバレ注意!

(少し、間を空ける)

航空会社から送り込まれてきた傭兵たちが、ゲリラを1人ずつ銃撃していく所も良かったです。

「待たせたな! 騎兵隊のお出ましだぜ!」

みたいな決めゼリフを言うでもなく、物陰から淡々とゲリラを仕留めていく。
対物ライフルで車ごとゲリラを仕留めるスナイパーの描写が新鮮でした。

それから、ラストシーンが良かったです。
全てが終わって、放課後の教室みたいにガランとした誰も居ない機内で、主人公の機長が1人で泣くっていうシーン。
その後、後部ハッチに移って階段に腰掛けると、視線がグィーンと上がって行って、飛行機の全体像をきっちり左右対称に俯瞰ふかんして終わる。
なんか、良い余韻がありますよね。

僕、「静かにたたずんでいるメカ」って大好きなんですよ。
もちろんメカっていうのは人が乗り込んで操縦して動いてナンボだとは思うんですが、役目を終えてエンジンを切られ、冷たい鉄とアルミの塊に戻った時のメカには、動いている時とはまた別の美しさを感じます。

気になった点を3つ。

1つ目は、副機長が飛行機の故障を直した、っていう説明です。
いくらパイロットが優秀だからって、飛行機の修理は出来ないと思うんですよね。

2つ目は、あの狭い滑走路で巨大な機体をUターンさせるって、本当に可能なのかな? っていう点です。

3つ目は、物語冒頭のアクシデント発生~不時着までの客室の様子です。
今年(2024年)の初めに羽田空港で起きたJAL機と海上保安庁機との衝突事故の時に、乗客が撮影した機内の映像がニュースで流れましたよね。
僕ら、その「本物」の映像を観ちゃってますから、この映画の「緊迫した機内の様子」は、やっぱり何だか嘘くさいというか、迫力に欠けました。
フィクションがリアルに勝てないっていうのは、まあ、仕方が無いのかな。
そこは割り切って観てあげるべきなのかも知れませんが、ちょっと気になりました。

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