見出し画像

ゴジラxコング 新たなる帝国

映画館で「ゴジラxコング 新たなる帝国」を観て来ました。
せっかくなので IMAX で観ました。
結論から言うと、とても面白かったです。

実は、ゴジラ・シリーズのファンには2つの宗派があります。
「ファースト原理主義者」と、
「チャンピオン祭り肯定派」です。
言い換えると「シリアスなドラマ重視」と「楽しいエンタメ重視」の争いです。
で、東宝のゴジラ・シリーズの歴史を紐といていくと、この両者の間を振り子のように揺れ動いているのが分かります。
まずシリアスな「初代ゴジラ」が作られ、
「楽しいエンタメ」→「シリアス原点回帰」→
「楽しいエンタメ」→「シリアス原点回帰」→
を繰り返しているんですね。

しかし残念ながら、どちらに転んでも両方同時には満足させられない。

シリアス路線になると、チャンピオン祭り肯定派が「こんなの俺らの望んだゴジラじゃない!」と騒ぎ出します。

楽しいエンタメ路線だと、ファースト原理主義者が「こんなの俺らの望んだゴジラじゃない!」と騒ぎ出します。

正直にカミングアウトしますと、僕はファースト原理主義者です。
あまりにもコミカル過ぎる路線のゴジラは、正直、今までは好きになれなかったタイプです。

そんな僕でも、今回の「ゴジラxコング 新たなる帝国」は、とても楽しめました。

やっぱり徹底する事、全振りする事って重要ですよね。
中途半端に2匹のウサギを狙って両方逃がすより、ストーリーを捨てて、思い切り怪獣アクションに振り切る方が良い。
そういう意味では、近々続編が劇場公開される「マッドマックス 怒りのデスロード」をちょっと思い出させます。

同じことを本家の東宝がやって成功するかと言えば、なかなかにハードルは高いんじゃないかと思います。
理由は「製作費」です。
製作費1億3500万ドル(206億7000万円)を湯水のように使ったからこそ「理屈抜きで楽しめる映画」として成立しているんだな、と。

世界中の名所旧跡を巡りながら巨大怪獣が暴れるっていう、その豪華さ・ゴージャス感って大事だと思うんです。
事実上ストーリーが存在しないこの映画の何がそんなに楽しいかったかと言えば、大部分は「絵面えづらの華やかさ」だと思うんです。
それが無いと、ただの「頭の悪い、ショボいだけの怪獣映画」で終わってしまう。
「ゴジラ -1.0」の約10倍の製作費ですからね。

ひょっとして、これから日米のゴジラ・シリーズは、
「シリアス路線の東宝」
「エンタメ路線のレジェンダリー」
という2枚看板で行くのでしょうか?
だとしたら、「ファースト原理主義者」対「チャンピオン祭り肯定派」の宗教対立も、これで解消されるかもしれませんね。

怪獣同士の肉弾戦は見ごたえがありました。
現実には有りえない骨格を持つ「怪獣」という架空生物をフルCGで動かして、これだけ迫力のある肉弾アクションを成立させた監督以下スタッフたちの手腕は、もっとめられても良いと思います。

スカー・フェイスのコッテコテな悪役演技も楽しかったです。

ネタバレを気にするような映画でもありませんが、以下にネタバレ感想を書きます。

(少し、間を空ける)

ほぼ、ヤンキー漫画でした。

怪獣たちの演技も、殴り合いの肉弾戦も、とにかくヤンキー漫画っぽかったです。
ゴジラとコングの闘いなんて、昔のヤンキー漫画に描かれていた番長どうしのタイマン勝負そのまんまでした。

「タイマン張ったら、マブダチやっ!」

人間の役者さんたちは、完全に「解説役」に徹していましたね。
「魁!!男塾」が元ネタのミームに、「知っているのか、雷電」ってあるじゃないですか。
あれをずーっと続けている感じです。
冗談抜きで人間のセリフは、ほぼ100%「説明ゼリフ」だったような気がします。

「ぬっ、もしや、あれは……」
「何っ! 知っているのか! レベッカ・ホール!」
「古来より伊々宇井須いいういす族に伝わる悪の化身、巣可悪すかあ金具きんぐ!」

会話の9割が、こんな感じ。
で、残りの1割が、こんな感じ。

「駄目だ、右手が凍傷にかかっている! このままでは巣可悪すかあ金具きんぐに勝てない!」
「仕方ない、 あれを使うか」
「ま、まさか!」
「そう、かつてモナークが開発した対メカゴジラ用決戦兵器、パワーハウス!」
「し、しかし、あれは余りにも強力なパワーゆえに封印されたはず!」

全編「説明ゼリフ」の映画って、歴史上初めてなんじゃないでしょうか。

あと、ゴジラ番長とコング番長のケンカを仲裁するモスラ姫のヒロイン感が半端なかったです。

「ちょっと、あんたたち、そんな事やってる場合じゃないでしょ! ほんと、男子ってバカねっ! ぷんぷんっ!」

ところで、モスラって何で復活したんですか? 
やっぱイーウィス族の皆さんの友情パワーなんでしょうか。
それとも、以前に出演していたモスラとは別個体なんでしょうか?

#映画
#映画感想文
#劇場で観た

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?