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元飛込日本一選手が、ドラマホリック!『DIVE!!』第5話を見て書き殴った

この文章は現役ハイダイビング選手(元飛込日本一選手)から見た『DIVE!!』ドラマレポートです。
所々ネタバレや常軌を逸した(頭の悪い)表現が含まれます。
それでもOKであればぜひ最後までお読み頂けると幸いです。

(まとめる関係上、実際の流れてくるシーンとは違う順番で解説する場合があります。また、権利問題対策のため画像も控えめにしていきます...ご了承くださいませ...!)

〜INTRO〜 4話から5話の架け橋

4話ではチーム全体で選考会に向けて各課題をこなしていく内容でした。

知季は前4回半への挑戦、飛沫は入水技術の習得。
現時点では完成された状態な要一。しかし当の本人は何か思うことがあるようで...

ライバルとして競う3人、しかし同時に友情も育んでいく3人。水着選びやカフェでの談笑で距離が縮まっていく。

友でありライバル。5話ではさらに3人の仲が動いていきます。
そんな目標に向かって進む3人を見守る親子や恋人そして友人。何を思い動いていくのか。5話もドラマチックな展開が盛りだくさん!

野生児の体

更衣室で腰の激痛によって倒れ込む飛沫だったが一時的なものとして回復したように知季の前では振る舞います。選考大会に向けてお互い励まし合う2人。

しかし、飛沫の腰痛は今に始まったことではなく津軽で飛んでいた時から既に患っていたようです。アパートで津軽からの贈り物を開封しながら彼女の恭子とテレビ通話をする飛沫。

立ち上がるときに腰の痛みに反応する飛沫を見逃さなかった恭子。大したことなさそうに振る舞って心配をかけないようにします。(一連のやりとりニヤニヤしてしまいますね...!)

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離れていてもわかるお互いのこと

ここで飛込競技における怪我についての補足
飛込競技は見ての通り危険が伴う競技であり、技術で補うことで命の危険や怪我を未然に防いでいます。しかし、競技力の向上のために失敗は多少あり体への負担は切っても切り離せないものです。

飛込競技での怪我の統計データがあるのですが、受傷率の一番高い体の部位が【腰部】となっています。その次に【手首】や【肩】と並びます。

飛込競技の中で腰はジャンプするときの踏切動作や入水する時のフォームや角度などさまざまな要素で負荷がかかります。体質や柔軟性や体の使い方によって差はありますが体感で半数ほどの選手が腰痛を経験していると思います。

怪我を極力減らすためには日頃のケアと入水時の技術が必須です。そこで重要な技術が前回話のレポでも触れた【セービング】の技術です。

https://note.com/kyo_39/n/n4f7e1766fcc3

【セービング】は水飛沫を抑える技術でもありますが同時に着水時の衝撃を受け流す技術です。飛沫は誤魔化しの技術だと敬遠していますが見た目以外でも重要な役割を持っています。

体への衝撃を受け流す技術を習得しないまま過酷な環境の崖から飛んでいたとあれば、腰への故障も納得できます。飛沫が考える沖津家のダイブでは点数と体へのマイナスが大きいのが現状。プライドを貫くか、怪我を回避して賢く演技するか。飛沫の性格からしたら答えは決まっていますね。

○ ○ ○

優先順位は何処へ?

5話では知季・未羽・弘也の幼馴染3人組の場面も度々挟まります。久々に3人で取り組む勉強でも頭の中は飛込のこと一色の知季。途中でトレーニングまでしてしまう始末。

未羽の頑張ってるおしゃれにも気づけず、弘也に注意されてやっと認識。これは擁護できません...頭が筋肉に侵されて筋肉バカになってしまっている...

カフェで勉強している未羽が横でイチャイチャしているカップルをチラリと見る。知季は飛込につきっきりで試合が終わったら!とは言うものの、やっぱり一緒にはいれないのが現状。これ付き合ってるって言えるのかな?状態。いや単純だけどかなり寂しいなこれ。

そんなこんなで毎回フォローに入るのが弘也。冷やかしつつなんだかんだ助け舟を出すできる弟です。ほんとできすぎるよなぁ?

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こりゃ弟も見かねる...

○ ○ ○

葛藤! 格闘! 共闘!  

練習シーンでは引き続き主役3人が思い思いの奮闘をしています。
知季はついに4回半に挑戦。飛べてはいるものの宙返りのスピードが足りず、入水までまとまった演技ができない。

飛込競技において新しい演技を「飛べた」と認識するレベルには多少ばらつきがありますが、概ね50〜60%ほどの完成度で「飛べた」と判断する場合が多いと思います。なぜなら入水を度外視して飛ぶだけならある程度できてしまうからです。

飛込の演技は入水まで完遂してはじめて審判に採点してもらえます。いくら空中の演技が素晴らしくとも入水がまともに入らなければ、試合ではその演技は使えません。試合である程度点数が出るレベルまでできて初めて「飛べた」とします。

前4回半にもなればかなり苦労するでしょう。まともに入水できないので体への負担もかなりあるでしょう。(それ以前に4回半に挑戦していること自体が既にすごいのですが...!)

飛沫は相変わらず入水の技術は板につきませんが、空中の動きは群を抜いて素晴らしい仕上がり。一緒に練習している要一に捻りのアドバイスを受けたところ即座に上達。さすが伝説のダイバーの孫。センスが段違いです。

動きの改善を見た麻木コーチと富士谷コーチは種目の捻りの回転数を一回転増やす提案を出す。よほど空中の演技が軽かったのと入水の改善が見込めなかったが故の判断でしょう。種目の難しさを上げて点数アップを狙う作戦に出るようです。それすらもやってのける飛沫。ポテンシャルの塊です。

○ ○ ○


挑戦し続ける2人を一番近くで見ている要一。そんな中自分はこのままでいいのか?ふと現状維持しているように感じたのでしょう。追い上げてくる2人を見ると焦るのもわかります。

今回のお話では要一とコーチ2人の会話がいつもより多めです。自宅での富士谷コーチとの演技構成の相談をするも説き伏せられてしまいます。

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「今の演技構成一番優勝に近いこと位わかっているだろ?」
「トモと飛沫に惑わされるな。」
「要一。自分の強みを見失うな。」

またある時には麻木コーチに知季の身を案じる提言をするも狙いを聞いて唖然とする。

「私がいつ選考会で勝つなんて言った?」

日水連(日本水泳連盟)がノーマークだった無名の選手が前4回半をやってのけてポテンシャルを見せつけることで、強化した先の可能性を見せる。オリンピックでメダルが取れるかもしれないという印象付けが麻木コーチの狙い。

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「番狂わせが一番盛り上がるでしょう?」

またある時には麻木コーチにしょげてる顔を見られて思い悩んでいることを看破される。

「俺には、トモの4回半っていう逆転技も、沖津みたいに野生的なダイナミックさもない。だから...」

強烈な個性を持ったライバルたちと並び、自分の武器に自信が持てなくなっていた要一。見かねた麻木コーチは中国のトップ選手の映像を見るように勧める。動画を見て衝撃を受けたと同時に「これだ!!」と何かを確信した要一。突破口は掴めたのでしょうか。

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中国のトップ選手達は正確無比な完璧を追い求めた演技が特徴です


ここで要一のスタイルについて解説します。主人公3人はそれぞれ武器とする演技スタイルがあります。

正直なところ採点の観点からして一番優れた武器は要一のミスのない演技だと筆者は考えます。

飛込競技は演技回数が6本だとした場合すべて違う演技をして、6本の演技の合計点数で順位を決めます。6本すべてが簡単な演技であればノーミスは難しくないですが点数はあまり伸ばすことはできません。

得点=演技の完成度(審判の点数)×演技の難しさ(難易率)

このルールに従うと高難易度の演技をいかに高い完成度で飛ぶことができるかが勝利の鍵となります。

知季は4回半以外の種目はそこそこの種目で全体の完成度もそこそこといった所でしょう。飛沫は全体的に演技の難易度こそ高いが入水技術が未修得の為、どうしても完成度は低いとジャッジされてしまい点数が伸びにくい演技です。

比べて要一は国内でトップクラスの難易度の演技を一本も失敗することなく飛ぶことができる。故に1番点数の出しやすい印象の良い演技となります。

試合なら失敗しないのは当たり前では?と思うかもしれませんが、全ての演技をノーミスで終える完全試合は飛込競技では相当難しいです。筆者ですら完全試合と呼べる試合は経験した事がありません。

練習でいくら完成度の高い演技をできていたとして、試合で発揮できなければ意味がありません。試合という極限の緊張状態でノーミスで演技ができる事は飛込選手として最高の武器です。

これらを踏まえて要一は絶対にぶれない鋼鉄の精神があり、成績も裏付けられています。そんな要一にさらに難しい演技に挑戦したいと思わせる知季と飛沫がいる練習環境。羨ましい限りです。

要一の心境には今後も注目です。

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がむしゃらになって見えてくるもの

目標に向かって走っていく主人公3人。朝練でも3人そろってトレーニングするようになりました。ライバルでありつつもお互いを高め合う間柄。

ふとした時にお互いの話になり自分の悩みや日頃思っていることを言いあったり。知季の上達具合や冨士谷親子の距離感、飛沫の祖父の掴みたかったものなどお互いのことを意識していなければできない話題ばかり。

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青春かよ...


知季に追い付こうと陵とレイジも追加のトレーニングメニューをもらうも、練習量の増加から、かなりしんどそうにしています。

練習に向かう道の途中、知季・陵・レイジが久々にそろう。信号の待ち時間で知季に対して以前の態度を謝罪し、和解することができました。

練習内容の差から不満や嫉妬で冷静な感情で接することができなくなっていた3人。しかし実力差を認めて頑張ろうと言い合う、男の友情が再び生まれる瞬間。なんと尊いことか...目から汗がこぼれそうになりました...

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選考会にむけてふたたび3バカは走り出す!

○ ○ ○

背中を押すのはいつだって応援

4回半がうまくいかない知季は小宮プロ(笑)に相談することに。
相談としてはまともな相談ですが知季の場合悩む順番が逆だったことに小宮トレーナーは驚きます。

「回転中の景色は見えているのに宙返りのスピードが追い付かない。」

本来であれば宙返りの途中の景色が見えなくて回転がわからない!という選手が大半です。しかし知季は逆で見えているのに回転が遅い。この場合は体の反応と筋力の強化が必要となるので小宮プロの出番です。

それと同時に何かを悟って勝手に納得する小宮プロ。「柔軟性もあって目も良い。あとはブツブツ...」知季の秘めた才能に目を輝かせながらスペシャルトレーニングを作りにかかる!

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才能に気づいた2人に挟まれる知季

筋力も増えて動きのキレは増したもののなかなか4回半を決めきれない知季。選考会まで残り二日にもなって未だに成功できずに焦りが見えてきます。そんな知季に麻木コーチが弱気になるな!と一喝。ここにきて知季の秘めた才能について打ち明けます。

麻木コーチはそれを「ダイヤモンドの瞳」と呼びました。

回転中でもプールに投げ入れたペットボトルを認識できるほどの動体視力。普通であれば回転中は高速で視点が動いているため景色や物がはっきりと見えることはほぼありません。

しかし知季は回転中にはっきりと景色が見えているとの事。見える景色によって宙返りから入水の動作に変わるため、知季の動体視力の良さは高速回転を要する4回半にはうってつけの才能です。

「その目があれば必ず4回半は飛べる。」

お墨付きにも近いコーチの言葉に突き動かされ、さらに挑戦する知季。

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そしてついに...!

試合二日前にしてついに!前4回半を決めることができた知季。チームメイトからも混じり気なしの賞賛の拍手が向けられました。

ついに準備が整った知季。選考会で果たして大技は炸裂するのか!?

○ ○ ○

まとめ

選考会が間近に迫り、主人公3人はできる限りのことはやってきたと思います。試合という順位が明確に分かれる機会で知季達は自分の持ち味を出し切れるか?

いざ試合へ!という段階で5話は終わりました。

主人公達の家族やパートナーとの感情が渦巻く中、6話も波乱の予感!

飛込の試合をどのようにアレンジしてドラマにするのか?気になるところ満載です。

第6話は5月19日(水) 0時放送です!お見逃しなく!

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