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【VIVOBAREFOOT】気づけばVivoでアルプス行くようになった話(プライマストレイル II FG)①

本来の足の力を取り戻す、という触れ込みのVIVOBAREFOOT。履き始めてから1年弱でアルプスも行くようになったよ、という話。


デカ過ぎかもと思いながら買った

たしか買ったのは2023年の9月ごろだったと思う。裸足感覚という響きに「へぇ、おもしれー靴」と惹かれ、気がついたら実店舗で試着していた。

足の実寸を測った後、店員さんが用意してくれた実寸+1cm超の靴を履く。普段の靴と比べてつま先がブカブカだった。「デカ過ぎるかも」と不安を伝えると、店員は「足の指が自由に動かせるくらいじゃないと意味がない」という。

前後のサイズを試着するのも禁ずるスパルタスタイルで、言われるがままにそのサイズを買った。結果的にサイズ選びは正解だった。

モデルはトレイル対応の中から魔法の言葉「街でも使えるデザイン」でプライマストレイルⅡを選んだ。

ろくに調べもしなかったが、どうやら地面と足の距離が最も近いモデルらしい。つまりソールがとんでもなく薄い。近所の街なかを歩くと、横断歩道の白線の凹凸が感じ取れるくらいだった。

初日~3ヶ月はいろんな所が痛くなった

履いて向かったのは犬の散歩で行き慣れた低山だった。登山口から山頂まで往復4時間ほどで、ぜんぶ樹林帯。登山口から15分ほどコンクリの道路を歩いたのちに土と砂利の混じった登山道に入る。

こんな感じの地面

早朝の山道の冷たさや湿り気が足に伝わるようだった。裸足感覚とはこのことか。

山行自体にはなんの問題もなかった。地面をよく噛むのは履き始めてからアルプスに行く今も同じ印象を持っている。問題は翌日だった。

引用元:ほんだ整骨院HP(https://honda.s358.com/blog/muscle/930/)

まずスネの下部が痛い。調べると「前脛骨筋」と呼ばれる部分の筋肉痛のようだ。

スネの外側から土踏まずの方につながる筋肉で、ちょうどドラムのバスドラ(踵を支点に足先でペダルを打つドンドンの音)を鳴らすように足を動かすとわかりやすい(ドラムやったことないけど)。

その下側のほうの部位が痛くなった。「こんなところにも筋肉あんのか」と驚いた。

VIVO激推勢を憎んだ

得体のしれない筋肉を発見するのも面白くなって山に入る時はいつも履いた。下山時に足首が捻挫のように痛くなり、VIVOを激推するUL勢を憎たらしく思ったこともあった。山で使えるなんて詐欺だろ、と。

ある日は左足のくるぶし前側を本当に捻挫したかと疑った。急な登り坂では足先を突き刺すようにつま先立ちする。足首のサポートがない中で何度も繰り返しているうちに捻挫のような症状になったのではないか、と。

今思えばいつも使われていない前脛骨筋の下側が酷使された結果だろう。

とはいえ、裸足感覚の面白さは魅力的だった。歩けば目をつぶっていてもどんな地面か言い当てられる。滑りそうな下りでは足の指先をギュッとグーの形にしてグリップ力を高める、などといったTipsも身を持って蓄えていった。

3~6ヶ月目で別のベアフットシューズを買った

「街でも使える」の7割は結果的にウソだと思う。山で使うようになったVIVOはみるみる汚れ、既に街で見るに耐えない姿になっていた。ソールのラグがすり減るのも避けたくて、安いベアフットシューズを買った。アマゾンで3000円台だった。

もう一足買うくらい、この手の靴が気に入ったわけだ。

ベアフット(裸足)シューズとは踵とつま先の高さがフラットになっている靴を指す。普通は踵が数cm高いのが一般的だが、つま先に向かって低くならないので「ゼロドロップ」とも呼ばれる。そして足の指先を広げられるほどつま先に余裕がある。

そういう特徴があれば安くてもあまり変わらないだろうと踏んだ。

VIVOの詳しいインプレッション(SAGUAROとの比較レビュー)

使い始めて約1年、本気出して洗った

違いは結構あった。VIVOはソールの薄さに対して剛性が高い。ソールを外側にして丸められるほど柔らかいのだが、進行方向に縦のベクトルで伸縮する力には硬さがある。例えば急な斜面を下るとき、勢いよく体重がかかっても靴がたわむ感じが一切しない。

素材の使い方や構造上の特性なのだろう。VIVOはシューレースを締めると、第二甲(指先側の甲)は自由にしたまま第一甲(土踏まず側の甲)を革のような硬めのアッパー素材で抑える。

これが面白くて、しっかり足にあった革靴と指先が自由なサンダルを同時に履いている感覚がある。

シューレースを引くと足の甲の曲線に沿ってフィットする感触がある。
左はインソールを抜いた状態。右のインソール表面のロゴは消えかかっている
インソールは非常に薄いふにゃふにゃした素材。抜いた状態でも歩けるように作られている

(余談も余談だが、筆者はかつて、危険な革靴沼にも片足を突っ込んだ。足に合う良質な革靴を履き慣らすと、革が足に吸い付くような感触を得られる。それはそれは気持ち良く、スニーカーよりも疲れにくい。この感覚を得ようと、足の実測から1,2サイズ落として革が伸びるまで苦痛に耐えて履くのが革靴界隈では一般的だ。文字通り、血の滲む努力である)

一方、新しく購入したベアフットはたわむ。インソールが柔らかいせいもあり、ふにゃふにゃ・ふわふわした印象を受ける。山道では登りは踵側に、下りはつま先側に強く力がかかるので歩行が不安定になりそう(試してないが)。

そりゃトレイル用に作られていないのだから仕方ない。この靴は近所を犬と歩いたり、ジムでトレーニングしたりするのに愛用している。最近はランニングにも使う。ストイック過ぎないところが気に入っており、値段以上の靴なのは間違いない。

歩き方を意識するようになった

こうして山でも街でもベアフットを履いて暮らすようになった。

幸いトラブルはなく、あるのは筋肉痛という前向きな痛みだけだ。歩き方は奥が深い。体重移動の仕方や次に置く足の場所など、それだけ考えていて飽きない瞑想のような所作だと思う。

長くなりすぎたので次回に続く。アルプスが遠い。


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