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お金が欲しい【2018/8才】

第10投稿は、ある男の子の話をします。
スキしてくれると嬉しいです。
では、どうぞ。

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お金が欲しい

「ケン、明日は公園の前で待ち合わせだ。必ず金持ってこいよ!」
ケンがユウスケと遊んだ公園にも夕焼け空が広がりました。ケンにはお小遣いがないのに、ユウスケにたくさんお小遣いがあると自慢してしまったのです。ケンはどうにかしようと道ばたに落ちているお金を探しましたが1円も落ちていませんでした。

家でお母さんにもおねだりしました。でも返って来たのは「自分の物を売って買ったら」という言葉でした。ケンは困り果てて自分の部屋にトボトボ入って行きました。「はぁ〜…」と言いながら何時間経ったのでしょうか。
ケンは不思議な夢を見ました。その夢は小さな男の子が懸命に働いてお金をもらってオモチャを買う夢でした。

明日は土曜日です。今は7時になるところでした。ケンの机にはホカホカのご飯とお味噌汁が置いてありました。ユウスケと遊ぶのは明日の夕方4時です。急いでご飯を食べて働けば間に合うかもしれません。ご飯のお椀の底が綺麗に見えたときケンのお父さんが困った顔で返って来ました。

「あ〜、明日の7時に手紙を20枚封筒に入れないのにやることがあるんだぁ〜…3000円をあげるから〜」。ケンはピッタリの仕事だと思いましたが、
お母さんが「そんなのケンも私もやらないわよ〜」と返してしまったのでどうすることもできません。それもそうです。ケンがもしお父さんの手伝いをしていたら、お母さんは必ず「宿題と算数ドリル終わったの!?」と聞いて来ますから。仕方なくケンは宿題と算数ドリルをしてベッドに入りました。そして童話の本を読みました。〜小人と靴屋〜というお話で、お爺さんとお婆さんが寝てる間に仕事をしてくれる優しい小人の話でした。

10時半になりました。時計のチクタクチクタクという音しか聞こえなくなった時、ケンはベットからそっと抜け出してリビングの封筒に20枚の手紙を入れてみせました。今度こそベッドに入ったケンは朝一番に起きて顔を洗って着替えました。

そこにお父さんが出て来ました。仕事があって早く起きたのでしょう。でも「お父さん、そんな心配はいりません。」ケンはそう言いたくてたまりませんでした。

「わぁ〜!」

お父さんはテーブルを見てビックリしました。ケンは、お小遣いが欲しいこと、夜中に手伝った理由を全部お父さんに話して「お父さんが作ったことでいいから約束の3000円は?」と付け足しました。
「あっ…あ〜あぁ💦その3000円は…酔っ払ってて〜…」
ケンはとにかく早く3000円が欲しくて、寝室の襖がズリズリと開いてお母さんが今にも出てくる気がして「早く!」と叫んでしまいました。

お父さんは3000円を渡しました。口が大きく開いてあくびが出ています。
時計を見てもまだ4時30分です。

「もうちょっと寝るね!」

ケンは元気よく眠って自分が小人になった夢を見ました。

8時に起きて朝ごはんを食べてお父さんとサッカーをしたケンはお昼を食べてテレビを見ると、3時40分には暖かいポケットで温められた6枚の500円玉をじゃらんじゃらん鳴らしながら、ユウスケの待つ公園に駆けていくのでした。

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