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初恋と同窓会

同窓会を抜け出した。

小さい頃はみんなもっと素直だった、純粋だった。またみんなで集まったからって小学生に戻るわけじゃない。それはしょうがないことなのにね。私はバカだなぁ、と思うけどみんな息苦しさを感じないのって疑問に思う。

少ししたところに橋が架かってて夜景が一望できた。「はぁ、」とため息が漏れる。足音が聞こえてふと横を見ると初恋の相手がやってきた。10年経ってもやっぱり私にとって一番カッコよくて。

「何やってんの?こんなとこで」

「別に、お酒好きじゃないから」

「じゃあ、俺もここにいるわ。なんていうか、息苦しいからさ」

「なにそれ(笑)別にいていいから」

「変わんないね、その口癖。俺なんて全部変わっちまったよ。サッカー選手にもなってないし、今じゃどこにでもスーツで行くよ。」

「変わるのも悪くないわよね、」

「うん、少し寂しいけどな。」

「そうだよね。みんな少し変わったんだよね。」

「少し、寂しいけどな」

「私、レストラン戻るわ。昔もそうやって励ましてくれたよね。」

「変わんないところだってあるんだよ。」

その言葉に返事はしなかったけど、そう言ってくれたことが嬉しくて、こころの中でにやけてしまった。

「私の変わってないとこは、好きな人だな!」

振り向いて思わず言ってしまうと、橋にもたれかかった彼が少し笑っていった。

「俺もそうかもな、」と。





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