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世の中から国境はやがて無くなる

今でも覚えているのは、2007年に世界に衝撃が走ったということ。毎日同じ黒いタートルネックを着ているおじさんが、瞬く間に世界を変える発表をした。あのプレゼンテーションを見た事がない人は絶対に見た方がいい、もはや誰しもが持つものなのに、今でも見るとワクワクしてしまう。

2008年にミーでハーな私は、京都の寺町通にある電機屋さんでアイフォンと呼ばれるものを手にした。スタイリッシュな見た目に、圧倒的な多機能。それまで持っていたスライド式の携帯電話が霞んで見えたし、ポケットに入っていたMp3プレーヤーは高瀬川に捨てて帰ろうかとさえ思った。

ミーハーは、「みいちゃんはあちゃん」の略「みいはあ」に由来する。 「みいちゃんはあちゃん」は、昭和初期、「みよちゃん」や「はなちゃん」など、昔の女の子の名前の頭文字に「み」や「は」が多かったことから、若い女の子の代表的な呼び名で、言動を軽蔑して呼ぶときに用いられた。

誰かが言った。スマホの本来の革命はモビリティ革命だ。
全くその通りだと思う。スマホという存在のおかげで、誰もがどこにいても仕事が出来る、用事がすませる、そんな世界観を実現してくれた。そんなスマホは瞬く間に世界を席巻し、10年後の2017年には世界中の誰もが持つプロダクトへと進化した。

2017年当時、私はインドで屯田兵をしていた。電気とガスがかろうじてある、そんな土で出来た小屋に住む子供達は皆スマホを持っていた。
タイの僻地まで首長族に会いにいった際も、首を長くしながらスマホを覗き込む子供達がいた。革命が起こったのだ。

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たった10年で世の中は情報社会になった。誰もがどんな情報にもアクセス出来るだけでなく、誰でも情報を発信できるようになった。今の時代は、情報をどう判断するかの読解能力が問われている。

10年後に国境は無くなる

この先の10年を考えたときに、自分の中ではっきりと答えがあった。
この世の中から国境はいずれ無くなる。
勿論、国境そのものが無くなる事はないし、人々が自由に行き来する時代なんて訪れやしない、それでもこれまで以上に国境の概念は確実に希薄化していく。10年後には、思いもしない世界になっているだろう。

こんな世迷い事を言い続けていると、周りからは大体乾いた笑いをされる。
一人だけ笑顔で「I beleive so too...」と言った人間がいた。現在LinkedInのアジア地域の総統括をするFeon Angだ。
国境が無くなる世界観の中で、まさにLinkedInはうってつけの場所だった。そう確信して、2019年に入社を決めた。

そして、2020年にジョブスよりもはるかに早く、コロナウィルスが世界を激変えた。それまでは家は「住む場所」だったのが「働く場所」が追加された。さらには「旅行する場所」も含まれるようになり、定住の概念すら覆る勢いである。

これを機にあらゆる会社が、日本のどこにいても働いてもいい制度を導入し出している。メルカリ社などは良い先進事例だと思う。実にPRが上手な会社だと感心する。

メルカリ、多様な働き方を尊重した 「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」の導入を開始
https://about.mercari.com/press/news/articles/20210901_yourchoice/

もう既に国境が無い会社だってある

確実に世界は進化している。いよいよ国境が無くなる時代が訪れる。
「働いてくれるのであれば別に日本にいなくてもいいよ。」こうなるのは既定路線である。
ジョブ型が拍車をかける。ジョブ型になると、一人ひとりの役割が明確に定義されるようになり、成果による評価がより容易になる。非同期で働く環境にジョブ型は必要不可欠である。

既に実現している会社も出てきている。
GitLabという会社は社員数1600名を超え、その国は33ヵ国にも渡る。HPを見てみると日本人でも勤務している人間がいる模様。
彼等が公開しているリモートマニフェストにも詳細な記載がある。

1)本社よりも、世界中で採用して世界中で働く
2)労働時間を決めるよりも、柔軟な労働時間を
3)口頭で説明するよりも、書面にして知識を記録
4)オンザジョブトレーニング(OJT)よりも、やり方を書面に
5)知る必要があるときだけ教えるよりも、情報公開を
6)ドキュメントをトップダウンで管理するより、誰でも編集できるように
7)同期的なコミュニケーションよりも、非同期的なコミュニケーションを
8)労働時間よりも、仕事の成果を
9)非公式なコミュニケーションチャネルよりも、公式なコミュニケーションチャネルを
https://www.publickey1.jp/blog/20/120066gitlab.html

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勿論、それをするには幾つか課題がある。
最大のポイントは報酬の授受であるが、これも世の中には既に解決するサービスが出来ている。米Deel社は既に629Mドルの調達済み。

Deel社
通常、国外で人材を採用する場合、業務委託として発注するか外部企業を介して雇用するしか方法がない。現地法人を設立しなければ、現地で人を雇用することはできないからだ。Deelはその問題を解決し、企業が海外人材を雇用するためのコンプライアンス対応、支払い手続きをすべてサポートする。
https://www.letsdeel.com/

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国境が無い世界に必要なもの


いざ、国境が無くなる世界線の中で、世の中で働く人達に求められるようになるものが幾つかある。私達はおしなべて、これらの問題と向き合っていかないといけなくなる。

1.圧倒的言語的プラットフォーム

あらゆる人、モノ、情報、何もかもが集まってくるときに、必ず必要になるものがある。「プラットフォーム」だ。
世界が一つになったとき、間違いなく言えること、それは「言語のプラットフォームは英語だ」という事である。

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世界の英語先進国では、英語を学んでなんかいない、みんな英語で何かを学んでいる。日本も少しづつそう変化していくはずである。
インターナショナルスクールへの入学数は、この10年で5倍以上になっている。賢くて、お金を持っている人達はとっくに気付いている。

2.国際的採用市場との闘い

語学のプラットフォームに慣れ、世の中が英語に慣れ始めたころ、世界にある大手企業はこぞって「真面目で」「薄給」な日本人を採用し出すだろう。

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採用市場に解き放たれた優秀な人材は、オンライン上で世界に飛び出していく事になる。きっと物理的にも飛び出していくようになる。
世界の名だたる企業との戦いに勝てない場合、日本企業に残されたオプションは限られている。

・海外にオフショアで拠点を作るか

・海外人材を広く受け入れ基盤を整えるか
・海外企業を買収して人員ごと受け入れるか

では、海外の人材が日本企業をどう認知しているかというと、認知すらしていない。シンガポール時代、ある総合商社の幹部の方がこう漏らしていた。「日本だと多くの人が入りたい会社なのに、海をまたぐと何の会社か説明しても分かってもらえない。」

高度外国人採用とは聞こえがいいが、彼等を広く受け入れていくためには会社としての訴求力も拡散力も足りていない。

3.多様性のマネジメント

外国人のマネジメントだけでない、異文化が混ざり国際化が進むと、今までの同質的な日本人も確実に多様化していく。価値観が混ざり合い、また新たな価値観が生まれ、多種多様な世の中になっていく。

一方で、マネジメントの重要さは増すばかり。ジョブ型雇用が進み、リモート環境化でより明確な成果が求められるようになる。マネジメントは成果主義の時の方が難しい、多種多様を認めながらも、Well-beingでHappyでEnjoyでYayな環境でも必ず「成果」を出さなければいけなくなる。

基本的には「ヤバイ、超楽しみ」でいい

国境の無い世界と聞くと、どうしても鎖国に慣れた日本は不安になってしまう。日本のメディアも不安を煽るのがとってもお上手なので、これからどんどんネガティブな情報が行き交うようになるだろう。

でも、基本的には楽しい事の方が多い。同質性強く、誰かに迎合をしないと生きていけない世界よりも、それぞれが自分らしく、価値観を大切にして生きていける世界の方がずっといいはずだ。

勿論、お金を稼ぐ、生きていくために変わらないといけない事がたくさんある。(みんな、先ず英語で学びましょうね)
それでも国境の無い世界はきっと楽しい。刺激がいっぱいで、多様に溢れている。

こんな駄文をここまで読んでくれた人がいるのなら、伝えたいことしては「多様は受け入れた方が楽」だということ。
あんなのおかしい、変だ、間違っている、そんな考え方でいるよりも、受け入れた方がずっと世界は楽しい。

国境の無い世界で、日本がもっといい国になればいいなと思うし、していきたい、していきましょう!





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