東京のロートレックは、人間の何を見つめるのか? 画家・樫村鋭一インタビュー vol.1
樫村鋭一(かしむらえいいち)という画家の存在を知ったのは、ある被災地支援のチャリティープロジェクトがきっかけだった。会場で展示してある幾つかのポートレイトを目にした瞬間、私は「えっ、日本人が描いた作品なの?」と思った。着飾った女の網タイツ、洒落た帽子をかぶった老婆、画面に走り書きされたフランス語……そのどこか退廃的で即興的な世界観はまるで19世紀後半のパリの画家のそれだ。
「この人はいったいどこから来たんだろう?」
私はそんな疑問を抱きながら、すぐにその本人と正面を向いて座り