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近道は意外と険しいからさ


才能がないくせに、私は昔から人と違うことをしようとする頑固な子だった。それでよく痛い目に遭っていた。

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中学生のころ、木の板を使って好きなプロダクトを作る授業があった。確か技術という科目だったはず。木の板のサイズは決まっていて、小さな本棚やCDラックのようなものを作る人が多かった。それらが簡単だし、先生も推奨していたからだ。

だが私は本棚を作ることにひとつも魅力を感じなかったし、自由に作っていいよと言われているのになぜ同じようなものを作らなければならないのかとも思った。

だから私は、実用的で欲しかった「一段の引き出しボックス」を作ることを選んだ。

しかし実際作ってみると本当に難しかった。苦戦しすぎて後悔した。当時の技術の先生が苦手だったのもあって、授業がイヤでたまらなかったことはよく覚えている。

ここで、立体物を作ることが苦手だと気付いた。

なんとか完成したときは達成感はあったし、見た目はどうあれマニキュア入れにちょうどよくて今でも使っている。けれど本棚でもよかったんじゃないか。とも思ったことは事実だ。

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高校生のころ、椅子を作る授業があった。確か実習という科目だったはず。私はデザイン科に通っていたので高校のころはひたすらものづくりをしていた。

椅子を作る授業は私たちのクラスが初めてだったそうだ。先生が建築とプロダクト向きの人たちだったので、椅子を作る案が出たのだとか。

この授業は、まず椅子のキットからスタートして、そのあとに自分で自由に製作した。作業用のつなぎの買い出しから始まり、ホームセンターに通い、日が暮れるまで木を削る青春を謳歌していた。

キットまでは楽しかったが、問題はそこからだ。

自由に製作するとなったとき、椅子のスケッチを書き込んでいくうちに「みんなと違うものを作りたい」思考がまた登場してしまった。

私は「ロッキングチェア」という難易度の高いものを選択してしまった。

そして見事に苦戦した。あなた立体物が苦手なんでしょうが。脚となる曲線の木を探したり削ったりなどに時間がかかり、全体的に重たく運びにくく、椅子にわざわざロッキングしなくてよかったと後悔した。

なんとか完成したときは達成感はあったし、いざ座ってみたらちゃんとロッキングできたし楽しかった。けれどロッキングさせた意味は見出せなかった。実用性は全くなかったし、今ではどこにあるか分からない。

ロッキングチェア完成後にもまた椅子を作る春休み課題があったのだが、ここではちゃんと実用的な椅子を作ってみた。ロッキングチェア以外の、キットの椅子と最後の実用的な椅子はちゃんと家に残っている。

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えらく良いポジションを取ろうと近道をした。だけど近道なんて意外と険しいと知って、失敗ばかりしてきた。

才能がないくせに、昔から人と違うことをしようとする頑固な子なら、近道なんかしちゃいけないと思う。

20歳を越えてやっと気付いた。乗り越えれる小さなチャレンジを、地道に続けることが大事だと。それと同時に、大きなチャレンジをすることも別に悪くないよと。

今では英語のやり直しをするために、中1英語から地道に勉強をしている。新たにプログラミングを覚えるためにかなり優しいテキストブックを買い、Progateでコツコツとレッスンを達成している。

焦らんでええよ。近道は意外と険しいからさ。



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