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原田治展は、かわいさと、「かわいく生きる方法」までも教えてくれた


2019年のある日の夏。「原田治 展」という展覧会が開催されると知った。場所は東京。世田谷文学館。全然聞いたことない場所だな、と思いつつ、とりあえず羽田空港行きの飛行機のチケットを取って、わくわくして、当日、飛行機の出発時間に起床した。絶望した。

この日はもう「原田治 展」を諦めた。往復の飛行機代3万飛んだ。少し安いからと言って時間の早い飛行機のチケットは取らないでおこうと学習した。あと、新幹線で行こう、とも学習した。このエピソード、そういえばnoteに書いたな。

あれから2年経ったのか。って思いながら、「原田治 展」、やっと行けました。広島県三次市にある「奥田元宋・小由女美術館」で、5月13日から開催している。もうすでに2回観賞済み。

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原田治さんというイラストレーターをご存知だろうか。

私はOSAMU GOODSが起点でファンになったのだが、多分どなたでもご存知であろう。有名なのだと、カルビーのポテトチップスの「ポテト坊や」、日立のルームエアコン「白くまくん」、ECCジュニア、ミスタードーナッツの景品などなどのイラストを描かれた方だ。


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私のOSAMU GOODSファン歴は短い。理由は明確。OSAMU GOODSは私が生まれる前の1976年に制作され、以降女子高生の間で大流行していたからだ。たしかに、私が女子高生だった2014~2017年あたりでは、OSAMU GOODSのトートバッグを掲げている女子高生は見たことがない気がする。

それでも私がOSAMU GOODSに惚れたきっかけは、この男の子、JACKを見たときだったと思う。


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※こちらは公式webストアの「【OSAMU GOODS】アクリルキーリングバック型(ジャック)」の写真



シンプルに、かわいい、と思った。

線が太く、均一。瞳は漆黒、表情は単調。けれど、アメリカンでポップ。愛嬌がある雰囲気。かわいいの概念をごっそり研ぎ起こされて、「シンプル」に「かわいい」と思った。


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私はこの「原田治 展」に行く前は、単純にOSAMU GOODSに囲まれる展覧会かと思っていたが、そうじゃなかった。いい意味で裏切られた。


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原田さんの幼少期の絵画や日記から、広告や雑誌の表紙、本の装丁、さらに多忙な日々の中で過ごしてきたアトリエの写真、還暦後に個人で制作された作品まで、原田さんの『全て』が展示されていた。


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あたり前にわかっていることだが、OSAMU GOODSのシンプルで均一な太い線は、誰でも描けそうで、描けない。

当時はデジダルで描けない。そんな時代に原田さんは、原田さん自身の目で、手で、あの線を描いたことに感動を覚えた。

線が、線がとにかく美しかったのだ。原画を見たときに震えた。原田さんの絵に対する、かわいいに対する熱量がとても伝わった。


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展示内に文章も多く書かれていたが、中でも出口近くに書かれていた文章がとても印象的だった。

「かわいい」の表現方法は、明るく、屈託が無く、健康的な表情であること。そこに5%ほどの淋しさや切なさを隠し味のように加味するというものでした。


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かわいい、の表現方法。か。

もしかしたら、「絵」だけでなく、「実際の生活」にも活かせるのでしょうか。男性を落とすためには、健康的な表情なおかつ5%の淋しさを隠し味として加える。なんか深い。絵だけでなく、「かわいく生きる方法」も教えてくれたようだ。


東京で開催されたときは、全国巡回展だなんて知らなかった。2年前の当時は、もうとにかく、今すぐにでも原田治さんのイラストに囲まれたかったのか。なんなのか。でもなんだかんだ、近場で開催されたので結果オーライ。おーい、飛行機のチケット代の3万、いま元気してる?




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