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美保関で遊郭を知る旅


『きゆかが好きそうなイベントがあるんだけど、行かない?!その名もPublic reading!』

ほう。

『みんなで本の一部を読んでその内容について感想を言い合う会!』

めっちゃ楽しそう。本が好きな私にとってはすごくいいイベントだと思い、誘ってくれた友だちにすぐに行くと返事をした。

だが詳細についてはあまり知ることなく、『流行りの本をみんなで読むのかな?』なんて思っていたが、テーマが『遊郭』だと知ったのは、現地に着いてからだった。


Public readingの会場は美保関みほのせきという町のなかにある『美保館本館』。美保関とは、島根半島の中央から東端にかけての地域で、多くの釣り人がいる。北は日本海、南には美保湾と中海。3つの海に抱かれた美保関は漁業と海の玄関口として栄えた町だそう。

久しぶりに来た美保関。松江市中心部から車で1時間。美保関灯台や美保神社くらいしか知識がなく、なんせ遠いもんであまり行ったことのない場所だった。Public readingがはじまる前に美保関の町をふらふら歩くツアーに参加したのだが、率直に『こんなにすてきな街だったとは。もっとたくさん来ればよかった』と思った。

コンパクトな町の中に歴史的な建物が多くある。実際、美保関地区は重伝建(重要伝統的建造物群保存地区制度)の導入に向けて動いているそう。

そして目の前の海がとにかく広く、それに負けないくらいモコモコとした山が後ろに並ぶ。紅葉がきれいだった。


まち歩きツアーが終わると、会場の美保館本館を散策。美保館本館は、明治38年(1905年)に建てられた築120年に迫る旅館で、営業中の旅館としては島根県で初めての国登録有形文化財に指定されたそう。

こんな美しい場所で読書会が行われるとは。Public readingの会場チョイスにセンスがありすぎて感銘を受けた。

2階


しかし、読書会のテーマが『遊郭』だったことを知り、感想を言い合う本もすべて遊郭についてのことだった。すこし戸惑いながら本を読み、読み進めていくうちに美保館も遊郭の歴史があったことを知る。

好きな場所で読書開始
予約の取れないケーキ屋さんのケーキをいただきながら、みんなで意見交換。贅沢。


Public readingは12人ほどの参加者がいて、自己紹介を交えながらグループになって本の感想を言い合ったり、遊郭についての知識を深めたりした。『あなたがもし遊女だったら?』というテーマで当時の状況に思いを馳せたり、すごく興味深い時間だった。

私がPublic readingに参加して最終的に思ったことは『好きな仕事を選べるありがたさ』だった。

まだ遊郭があった時代は女性の人権など無いに等しかったと今回のイベントで知り、とてもショックを受けた。私が最近仕事でうつ病になって、仕事についていろいろ悩んでいたが、まずは『仕事を選べるだけでありがたい』と思うことにした。

もちろん、現代では現代の悩みがある。だけど女は貧しければ身体を売る仕事しかない時代に比べると、どうだろう。今は辛ければ、やめることができる。違う仕事を探すことができる。

それだけですごく恵まれているのでないか。

Public readingを主催した方も、参加したみなさんもすごく文化的で素敵な方々だった。松江の未来はすごく明るい。とても刺激的なイベントだった。もう少し、遊郭について勉強してみたいと思う。



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