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警察官に笑われた話(ただの雑記)


ちゃんとスマホにメモしていた『めんつゆ』『コチュジャン』『豆板醤』、全部買い忘れた。『コチュジャン』『豆板醤』は諦めて、仕方なく『めんつゆ』を近所のコンビニで買い足した。

確かにこの日はすごく抜けっぽくて、嫌な日だな、とは思った。

仕事があまり忙しくなかったから、16〜17時には上がってスケボーしに行こうと思っていた。けれど結局ダラダラ、ぼーっとしてしまい、18時くらいになってしまう。

ぼーっとした時間を埋め合わせるように、急いで買い物に行く。そういえば、と思いGUに寄る。以前から狙っていた夏用のルームウェアがない。1000円でめっちゃ可愛いシルエットと色だった。うーん、ここまできて何も買わないのが悔しくて、2000円のルームウェアを買う。GUに寄ったせいか、メモしていた『めんつゆ』『コチュジャン』『豆板醤』がすっぽ抜け、代わりにカゴの中には『箱アイス』『ミルクレープ』『カップラーメン2つ』が入っていた。

***

帰宅してそうめんを食べる。冷やしていたミルクレープを食べる。机の上の片付けは後回し。だらだらとYouTubeを見る。すごくいつも通りの生活。確か22時。

インターホンが鳴る。

カメラ越しに見ると、ぜんぜん知らない男の人。もう2回鳴る。結構な夜に、荒々しく響くインターホン。冷たい汗が流れ、ポケットに入っていたスマホを出し、カメラに映った映像を撮影する。すると突然、その男の人がドアに手を伸ばす。え?開けようとした?その次の瞬間ポストを見る。うちのポストは、外にあるダイアル式ポスト。軽く閉めてはいたけど、こじ開けられ、なにやら私の郵便物を撮影している。

嘘だ。私の住所と名前を撮られた?

男の人はどこかへ行ったので、スマホの撮影を止めた。

不審な人には出ないことと、ドアの鍵閉めはちゃんとやっていた。けれどポストのセキュリティは甘かった。チラシしか入っていなければ、住所と名前は撮られることはなかっただろう。だけど、今日届く予定のAmazonで注文していた荷物が、絶対入っていた。それらしき荷物を撮影してどこかへ行った。

私がまず考えたのは、2時間前に近所のコンビニまで『めんつゆ』を買いに行ったときのこと。歩いて行った。そこで、ストーカーに目をつけられたのか?でもそのときの時間は20時。部活を頑張っていた高校生のときは、いつもこれくらいの時間に帰宅していた。めちゃくちゃ警戒する時間でもない。

次に考えたのが、同じアパートの人。このアパートに住んでから、騒音のクレームが私の部屋宛に届く(これもまた言いたいことが山ほどあるが)。このクレームを出した人が、さすがに私に怒り狂ってインターホンを鳴らしたり、ドアを開けようとしたり、ポストを漁って住所を撮ったのか?


色々と怖かった。今まで出たこともない涙が出て、とりあえず不動産会社の緊急連絡先に電話する。ゆっくり説明するたびに涙声になる。『あの、どうすればいいか分からなくて…』すごくメンヘラ口調になる。対応いただいた女性の方が、『怖かったですね』と優しく声をかけていただく。こちらでも翌日の営業時間から対処しますが、緊急でしたら、警察に連絡していただいた方が、とも勧められた。確かにこのまま夜を過ごすのも不安だった。電話を切り、なぜかネットで『松江 警察署』と検索してしまう。110番で合っているはずなのに…なぜが不安がる。気を取り直して、コップいっぱいの水を飲んで110番をかける。

『事件ですか?事故ですか?』

プルルルル、のプの字もなく一瞬で出て言葉を発する警察官。あ、このセリフ、聞いたことあるやつ。と妙に感動する。そして私、多分事件に巻き込まれているんだ、と冷静になった瞬間に涙が引いた。数分前にあったことをゆっくり話す。意外と焦りがない。警察に連絡をするというのは、焦りではなく、安心の方が勝つんだなと初めて体験した。

数分後に警察官2人が来た。部屋に上がって、録画していたインターホンの映像を確認する。警察官のうしろには、散らかったお皿が数枚。片付けを後回しにしていたボロが出た。そんなことは1ミリも気にしていなさそうに、事情聴取、警察官のスマホでの撮影、幹部との連絡が進む。リモートワークで人との雑談が不足している私でも、さすがに警察官との世間話はできなかった。

***

『先ほどおっしゃっていた、Amazonからの荷物取ってもいいですかね?鑑識で使用したく。』ポストに入っていた、Amazonからの荷物を調べる。勝手に住所と名前を撮られたであろう荷物。

『この荷物から指紋採れますかね』
『あー。配達員の指紋の可能性もあるからなあ』

配達員?このワードに、3人ビクリとなる。

もう一度、映像を見る。

『この人の脇に挟んでいる物、これ(Amazonからの荷物)じゃないですかね?』

あれ?

確かによく見ると、そうに見える。

『とりあえずAmazonアプリを開いて、どこからの郵便物か確認しましょう。』

Amazon配達員と、トラッキングID、という表記しかない。

『その配達員と連絡さえできれば』

必死に探す。Amazonはそこそこ使い慣れているはずだが、見つからない。

『あれ?』

ひとりの警察官が、Amazonアプリをきょとんとした表情で見る。

『あなたがスマホで映像を撮った時間って、何時でしたか?』
「えっと…22時2分です。」
『配達完了時間見てください。』



!!!!!!!!!!

まさかのAmazon配達員だった!


『ひゃあ!!!』と、魂が抜けたようなマヌケな声が出て、思わず顔を両手で隠した。恥ずかしさと安心感で膝が崩れ落ち、よく分からない変な汗が出る。こんなことで110番してすみません、なんて咄嗟に口からは出ず、冷蔵庫の中にでも隠れて頭を冷やしたいという謎の表情で誤魔化した。

そんな私を見て、アプリを見て教えてくれた警察官はにこにこと笑い、もう1人の警察官にこれらを伝えた。

『え?なんで分かったんすか?』
『ここを押したら出てきたんよ。ほら』
『あーなるほど、すごいっすねwww』

警察官をしている友達なんていないし、速度違反や職質などで警察と話したこともない。だから警察官というのは、どっしりとした、圧のある石像みたいなイメージだと本気で思っていた。

だけど私の部屋の中に広がっていたのは、まるで部室の中で隠れてゲームをする男子高校生のような会話だった。

『荷物にある住所を撮影しているんじゃなくて、荷物に貼ってあるQRコードを読み込んでいるか、確認しているかじゃないですかね』

確かに指の位置をよーく見てみると、撮影というより、確認しているような動作だった。事実をひとつひとつなぞっていくと『なんじゃそりゃ』みたいな内容だった。

そんな、また恥ずかしさが戻ってきたときだった。

『知らない人がインターホンを鳴らして、出ないことはいいことですし、不審に思ったら警察に通報するのも悪いことではないですよ。女性が一人暮らしをしていたら不安になることはあると思いますで、また何かあったら連絡してくださいね。』

私の中にあった石像のイメージが、一気に崩壊した瞬間だった。

言われたことは、警察官としてすごく当たり前のことかもしれない。けれどそのときの私にとっては、本当に救われた。ほっとした。なんならときめいた。連絡してよかった。安心できてよかった。

素直に『あ〜〜〜ほんとですね!そう言っていただけてめちゃくちゃ救われました!!!マジでありがとうございます!!!!!』って言えたらよかったけれど『あ、あ、ありがとうございます。。。』と言って深くお辞儀をするのがそのときの私の精一杯だった。


***

私がこの日に学んだことはたくさんある。

外のダイアル式ポストはちゃんと鍵をかけろよ、ということ。

警察官は石像ではなく、めちゃくちゃ優しくて安心感をくれる人もいるよ、ということ。

不安になったらすぐに警察に通報するのは悪いことではないよ、警察官は一分一秒逃さず出てくれるよ、ということ。


そして、Amazon配達員には気をつけろということだ。

『Amazon配達員』なんて大きい主語を使いたくない。だけど先月、会社の同僚が『最悪、、、Amazon配達員が、雨降ってるなか玄関前に置き配されてめちゃくちゃ濡れたので、気をつけてくださいねー』と言ってたばかりだ。

ネットでも調べると、オートロックを突破したり、ドアを開けられて玄関に置かれた(!)ということもあったらしい。

翌日発送を頼んだり(プライム会員なのでそうなる)、勝手に不審者扱いをしたり、ポストに鍵をかけていなかった私にも十分反省点はあるが、やはり時間と行動面がそう思わせてしまった業者さんにも、反省点はあるだろう。


怖かったけど、とりあえず一晩寝て、文章にブアーっと書けば気持ちは整理できますね。

おわり。



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