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中国 「最高人民法院による「中華人民共和国民法典」契約編通則の適用での若干問題に関する解釈」(法釈〔2023年〕第13号)

最高人民法院は、12月4日付、「最高人民法院による「中華人民共和国民法典」契約編通則の適用での若干問題に関する解釈(最高人民法院关于适用《中华人民共和国民法典》合同编通则若干问题的解释)」(法釈〔2023年〕第13号)を公示し、12月5日より施行した。

民法典の契約編の司法解釈は、昨年11月に意見募集しており、総則編に次ぐ司法解釈の施行となる。強行規定との関係、状況が変化した場合の適用、債務逃れ対策などが注目される。
本司法解釈は、全69条からなり、概要は以下の通り:
1.一般規定  第1条~2条
2.契約の締結 第3条~10条
3.契約の効力 第11条~25条
4.契約の履行 第26条~32条
5.契約の保全 第33条~46条
6.契約の変更と譲渡 第47条~51条
7.契約の権利義務の終了 第52条~58条
8.違約責任  第59条~68条
9.附則    第69条

以下は、その仮訳です。

法釈〔2023年〕第13号
最高人民法院による「中華人民共和国民法典」契約編通則の適用での若干問題に関する解釈

(2023年5月23日の最高人民法院司法委員会第1889次会議で採択され、2023年12月5日より施行)
契約紛争事件及び契約に起因しない債権債務関係の紛争事件を正確に審理し、法に基づき当事者の合法的権益を保護するため、「中華人民共和国民法典」、「中華人民共和国民事訴訟法」などの関連法律規定に基づき、裁判実務と結びつけて、本解釈を制定する。

1.一般規定

第1条 人民法院は、民法典142条第1項、第466条第1項の規定に基づき契約条項を解釈する場合、語句の通常の意味を基礎として、関連条項、契約の性質と目的、習慣及び信義誠実の原則を結びつけ、契約の背景、交渉過程、履行行為などの要因を参考に紛争条項の意味を確定するとものとする。
 当事者間に契約条項の通常の意味と異なる他の共通の理解があることを証明する証拠があり、当事者の一方が語句の通常の意味に基づき契約条項を理解することを主張する場合、人民法院はこれを支持しない。
 契約条項に対し2種類以上の解釈があり、当該条項の効力に影響を及ぼす可能性がある場合、人民法院は、当該条項に有利な有効な解釈を選択するとものとする。無償契約に属する場合、債務者の負担が軽い解釈を選択するとものとする。

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