中国:特許法改正審議稿と意匠の活用

中国全人代は、2020年7月4日付で特許法改正の最終的な改正案である審議稿を公示し、一般からの意見募集を開始した。

出願関係では、部分意匠の導入、新規性喪失の例外に国家の緊急事態、不特許事由に原子核変換方法加わり、発明特許の優先権証明書の提出猶予期間が16か月と伸びた。また、行政処罰や損害賠償も増額され、部分意匠の導入を除き、概ね予想通りの内容である。

今回の注目は、意匠特許に関する改正である。国際意匠制度に加盟することが予定されていることから権利期間を15年に延長し、部分意匠と国内優先制度を導入した。個人的には部分意匠の意味は公知が主目的で権利行使には使えないと考えている。
 各方面から部分意匠について質問があるが、導入を決めた背景には、全体の権利保護に比べ、部分の保護が不明確で創作者の意欲の奨励することが不十分であることが 地方、部門及び会社と専門家から指摘があったこと、部分意匠制度が中国にないのは諸外国と比べて不利であると指摘があったことである。後者は国際意匠制度に加盟することが予定されているためである。つまり、中国人が外国で権利を取ることを積極的に推進している中国政府は中国人が国際意匠を活用する上で部分意匠制度の存在は便利だと判断している可能性は高いと個人的には考える。
 一方、これまで大手企業から部分意匠については、権利行使などの問題やゴミ意匠特許が多数排出されることを危惧して、反対が多くあったことも事実だ。中国専利局は意匠特許出願に対して、実体審査はしていないが、最近は簡単な意匠の出願に対しては方式審査(初級審査)で拒絶理由を付けてくる例が増えている。方式審査なのに新規性を指摘してくるのだ。これは、2013年10月の特許審査指南の改正に基づくものであり、実案も同じで、新規性がないぞ!との通知が来る。加えて、悪意先取り商標出願は審査もせずに却下する。こうしたことの背景は、諸外国(特にアメリカ)や国内の大手企業からゴミ権利の排出官庁との指摘を受けているためで、ゴミの権利で訴訟や行政申立が起こされることは、権利行使機関の資源の無駄遣いとの指摘だけでなく、最近は悪意訴訟もかなり多く、その改革が指摘されている。このため、入口規制を専利局や商標局はせざるを得ない。つまり、共産党から何とかしろとの圧力を受けているのである。

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