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中国「最高人民法院による独占民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干の問題の解釈」(7月1日施行)

最高人民法院は、6月24日、記者会見を開き、2024年2月4日に最高人民法院裁判委員会第1915回会議で採択された、「最高人民法院による独占民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干の問題の解釈(最高人民法院关于审理垄断民事纠纷案件适用法律若干问题的解释)」(法釈[2024]6号)の公布と2024年7月1日からの施行を発表した。

本司法解釈は、「中国独占禁止法(反垄断法)」の改正後2年経過し、2012年の司法解釈に代わる新たな司法解釈として公示された。2022年の改正独占禁止法に対応し、実体的条項に対応した司法解釈を整備したと言える。本司法解釈起草では、政治主導、立法精神の堅持、新業態と国際競争に対応、司法経験の踏襲、国内外の独禁法理論に立脚するとの5つの基本原則を堅持したとしている。本司法解釈は2022年11月に意見募集稿された内容とほぼ同じであり、その主な内容は、新たに37条が追加され、全6章51条からなり、構成は以下の通り
第1章 手続き規定   第1~13条
第2章 関連市場の定義 第14~17条
第3章 独占協議    第18~27条
第4章 市場での支配地位の濫用 第28~42条
第5章 民事責任    第43~49条
第6章 附則      第50~51条

第3章では、独占協議を規定しており、主に水平独占協定における協同行為、行為主体、後発薬医薬品(パテントリンケージ)、データやアルゴリズム、プラットフォーム待遇、及び垂直型独占協議の立証責任、反競争効果認定及びその例外、組織支援行為、独占協定免除などの事項を規定しており、第4章で部は市場支配地位の濫用を規定し、主に市場支配地位の定義、各種タイプの市場支配地位濫用行為の分析認定などの事項が含まれている。

【最高人民法院による独占民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干の問題の解釈】法釈[2024]6号 仮訳

(2024年2月4日最高人民法院裁判委員会第1915回会議が採択され、2024年7月1日より施行)

市場での公平な競争秩序を維持し、法に従い公正かつ効率的に独占民事紛争事件を審理するため「中華人民共和国民法典」、「中華人民共和国独占禁止法(反垄断法)」、「中華人民共和国民事訴訟法」などの関連法律規定に基づき、本解釈を制定する。

一.手続き規定

第1条 本解釈にいう独占民事紛争事件(垄断民事纠纷案件)とは、自然人、法人或いは非法人組織が独占行為により損害を受け、また契約内容或いは事業者団体の定款、決議、決定などが独占禁止法に違反し紛争が生じ、独占禁止法に基づき人民法院に民事訴訟を提起した事件をいう。
 本解釈にいう事業者団体とは、業界協会など二つ以上の事業者が共通の目的を達成するために結成された結合体或いは連合体をいう。

第2条 原告が独占禁止法に基づき人民法院に直接民事訴訟を提起、或いは独占禁止法執行機関が独占行為を構成すると認定し処理決定を下した後に人民法院に民事訴訟を提起し、かつ法律規定の受理条件に適合する場合、人民法院は、これを受理しなければならない。
 原告が人民法院に被告の特定の行為が独占を構成することを確認することのみの請求で起訴し、被告に民事責任を負うことを請求していない場合、人民法院は、これを受理しない。

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