中国特許法第4次改正内容(5)

医薬品の研究開発には巨額の投資がなされるため、特に知的財産権でも特別の保護が必要であり、医薬品の持続的なイノベーションの必要性と一般社会が絶えず安全で効果的な新薬を利用し疾病に打ち勝つことができるためには不可避です。今回の改正では、医薬品の特許保護を強化し、医薬分野のイノベーションを奨励する観点から関連規定が追加されました。

(1)医薬品の特許存続期間の補償規定の追加(第42条第3項)
 中国での医薬品産業の発展につれて、製薬会社は革新的医薬品の研究開発への投資と技術革新能力を徐々に高めており、諸外国のように相応の制度設計がこうした研究開発における積極的取り組みを保障するために必要であると考えられようになっています。また、アメリカからのこうした状況に関する圧力もありましたので、国外の新薬の早期上場、中国の国情に立脚し、医薬品の特許存続期間ほ補償する制度を導入することになりました。
 新薬の上場審査・審査・承認の期間を補償するために、中国で上場許可を得た新薬関連発明特許については、特許権者の請求を条件に5年を超えない期間とし、新薬承認後の総有効特許期間は14年を超えない期間を補償する規定が追加されました。

(2)医薬品特許紛争の早期解決プログラムの新設(第76条)
 これは、医薬品のパテントリンケージに関し、諸外国ではジェネリック医薬品 (後発薬) の承認申請の際に先発医薬品メーカーとの事前調整などにより先発医薬品に係る特許権の侵害を回避する制度ですが、中国の特許法では、関連当事者が紛争に入った場合、裁判所での侵害判断或いは国家知識産権局での仲裁を活用することができ、医薬品管理監督部門は対象医薬品の上市について決定することができます。

(3)新規性例外に追加規定(第24条)
 中国では、今回の新型コロナの発生により関連部門や専門会社などは疫病予防とコントロールの必要性から新型コロナに関する発明創造を緊急に公開することが行われしました。しかし、こうした開示行為は現行特許法に規定される新規性喪失の例外規定に対応しないため、そうした発明創造が特許による保護を得られない状況に直面しました。
 従って、疫病対策などの緊急事態と非常事態により関連発明技術が疾病治療などの目的を達成するために利用される一方、新規性を失わないようにするために、社会公共の利益のために公開されたことを条件に、新規性例外の対象として追加されました。

以上、ご参考まで。

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