19歳の1ヶ月欧州周遊記①〜旅立ち〜

なんとなく、大学2年生の頃の思い出を振り返りながら書きます。

旅は人生を豊かにする。
旅は出会いだ。この先交わることのない人生でも、行く先々で出会う人は、新しい何かを自分に運んでくる。それは新鮮で、新しい経験の連続だった。

27歳のときだった。雨が滴る夜、ふと8年前を思い出す。

当時、大学生で19歳の夏、私は期末試験を終え、成田空港にいた。背中にある通学で使うグレゴリーのバックパックが、いつもより膨れている。手元には、8月1日成田発フランクフルト着、そして、1ヶ月後のフランクフルト発、成田着の航空券だ。
この日、初めて海外に、1人で旅に出る。

飛行機に乗り込み、日本の地表を離れたとき、高揚感と不安が一気に込み上げた。
エコノミークラスの座席で、世界の歩き方を広げる。
買ったのは航空券だけで、ヨーロッパにいる1ヶ月、何をするのか、どこに行くのか、全く何も決めていなかった。

前日に、「地図で行きたいところをマルで囲み、それを線上で繋げて、そこからルートを考える」というざっくりとした情報をネットで見たのを思い出し、本についている地図にチェックを加えた。
あっという間に映画館2本分の時間が経った。
なんとなく回りたいところに目星がついてきた。

よく考えると、フランクフルトに着いて、泊まる宿を決めていなかった。飛行機の上では得意のインターネットは使えない。
何時に着くのだろう。夜中だったら早速窮地だ。不安なまま、眠りについた。

アナウンスが流れる「まもなく、フランクフルト国際空港です。現在、地上には…」キャビアテンダントがバスガイドのように少し説明をしてくれていたが、全く覚えていない。

全く知らない異世界に来てしまった。英語は大学受験のときに覚えた6000個の単語帳を言えるレベル。恐らく6割は忘れているだろう。
頼れるものはいない。着陸が怖かった。高揚感はあったが、それを越える不安があった。

空港に降りた。天井は日本より高い気がした。
空気は独特で、ウインナーのような、オイルのような匂いがした。
よく日本に外国人がおりると、「ソイソースの匂いがする」というらしいが、あれの逆輸入版か。と妙に納得した。

ドイツという感じで、空港のベンチや、エスカレーター、設備全般が角が尖っていて重厚感がある。なぜか、BMWのSUVが頭に浮かんだ。

入国審査で、現地人に「What’s the purpose 」
と高圧的に言われ、一瞬たじろいだ。

「サ、サイドシーイング」
と答え、いくつかのやりとりを終える。
パスポートを返された。フランクフルト空港のスタンプがあった。ドイツに入国した。


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