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【KY25】子供でも分かるIRR(内部収益率)

ブログを始めてから、プロらしいこと、ほとんど書いてないですね。
今回はIRRについて、ファイナンス理論なんて難しいものを使わずに、説明してみようと思います。

ちなみにIRRは、不動産投資の勧誘などでワンルーム・マンション投資などを考えられている人にとって、知っておいて損のない話だと思います。


IRRはなぜ必要なのか?

IRRは計算しない

ファイナンス理論を学んだことのある人は、きっとこいつ何言ってるの?となると思います。

IRRの内容を説明する前に、とりあえず結論だけ述べます。
IRRは、実務では計算しないのですよ。
IRRは投資効率を判断するために、前提条件として与えられた数値を用いるということです。

以下、ちょっと面倒な内容ですが、お付き合いください。

そもそもIRRとは?

IRR(内部収益率:Internal Rate of Return)は何ですか?
簡単に言うと「お金の時間的な価値を考慮した利回りのこと」です。

時間的な価値とは何ですか?
例えば、利息(10%)というものがあれば、今日の10,000円と1年後の10,000円は同じ価値ではないということです。

当たり前ですが、誰かに10,000円を貸して、1年後に10,000円を返しに来たら、利息分の1,000円を払えと言いますよね?
つまり、今日の10,000円は1年後の10,000円と同じではなく、1年後の10,000円に利息10%を割り引く必要があるということです。

1年後の10,000円は、今日の時点で評価すると
10,000円/1.1≒9,090円
になるということです。
今日の9,090円は1年後に10,000円(9,090円*1.1)になります。

なお、時間価値の計算は複利になるので、大きな差となります。
例えば10年後の1万円は利回りを10%とすると、今日の時点だと3,847円(≒10,000円/1.1^10)ぐらいですかね。

これぐらい違うと時間的な価値を含めて計算しないと、利回りは正しく計算できないということです。

IRRの計算方法

計算式に表すと

初期投資額=1年目のCF/(1+r)^1
     +2年目のCF/(1+r)^2
     +3年目のCF/(1+r)^3
     …
     +x年目のCF/(1+r)^x

となる利回り(r)を求めるということです。
ちなみにCFはキャッシュフローで、ここではリターン(=現預金)と思ってもらえればいいです。

ややこしいですよね。計算式とか分からなくてもいいです。
とりあえず理解して欲しいのは、初期投資額に対して回収期間まで毎年お金が返ってくるとして、トントンになる(初期投資額を回収できる)時間価値を考慮した利回り(IRR)はいくらになるのか、ということです。

あー、もう分かんねえとなるかもしれませんが、もう少しお付き合いください。
m(__)m

とある投資用物件の紹介サイト

もうね、どこのサイトを引用しているかは言いませんが…

某サイトのスクショ(複製禁止)

詳しくは、画像のコメントを見てください。
この投資マンション紹介サイトでは、IRRの計算例を出していますが、指摘するのも馬鹿らしいです。
端的に、ワンルーム・マンションの投資は考えた方がいいですよ。

IRRはマーケットで決まる

はじめに述べたように、IRRは架空の事例で計算するものではなく、マーケットのIRRをベースとするのです。

常識的に考えてみてください。もしあなたが、その投資が合理的かどうかを判断するなら、同じような投資案件を参考に、どれくらいのリターンが見込めるかを計算するはずです。

例えばある不動産投資の営業マンが、あなたにあるワンルーム・マンションを勧めたとしましょう。
その投資物件の詳細に、利回り(IRR)が書いてあれば、あなたは世間相場を知りたくないですか?

つまり世間相場のIRRがいくらだから、この投資物件は世間相場と比較して、条件はどうかなどを判断し、儲かるかを判断するはずです。

もう一度言いますね。架空事例でIRRを計算するのではなく、実際のマーケットのIRRを参考にして、架空事例の投資判断を行うということです

だから、小難しいファイナンス理論はいらないのです。
世間のワンルーム・マンション投資だとIRRはこれぐらいが世間相場で、初期投資はこれぐらい。それを前提にCF計画は妥当か、そのような判断をします。

もしワンルーム・マンションの投資をお考えなら、滝島さんの本を一読することをオススメします。

滝島一統「誰でも儲かる、わけがない 初めての不動産投資必勝ルール 罠を見抜いてお金を増やす」(KADOKAWA)

ちなみに私が購入したのが半年前なのに、もうKindle Unlimitedになっていますね(笑)

ベンチャー企業の投資

実はこの視点は、ベンチャー企業の投資でも同じです。
もしある若者があなたの前に突然現れて、いずれ第2のアップル帝国を作ると言われたとしたら、あなたはどれくらいの金額を投資し、どれくらいの株式割合を期待しますか?

分からないですよね(笑)
仕方がないので、大半のベンチャー投資では、スタートアップの成長ステージに応じて、アーリーならIRRは50%とかそういう業界の参考値があって、ベンチャーの事業計画などをもとに、エイヤーで適当に決めてしまうのです。

事例で考えてみよう!

実質利回り、固定資産税、管理費、修繕積立金など、あれこれ考えず、シンプルに期待IRR、初期投資額、年々のCFの3つをもとに計算すれば十分です。

ちなみにインターネットで検索すると不動産投資の期待IRRは5%程度だそうです。リートが7%程度なので、妥当な数値だと思います。

事例は、ワンルーム・マンションを購入して賃貸した場合に、20年で元手を回収できるか、という計算です。かなり甘めに数値設定しています。

複製禁止

事例では、初期投資額4,000万円で東京都中央区のワンルーム・マンションを購入して、毎年150万円のCFがあったとします。
20年目でも元を取れず、2,129万円以上で売る必要があります。まあ売れるとは思いますが、初期投資額4,000万円を借入金で投資したとすると、金利を支払うので資金回収はもっと悪化します。
また個人の長期ローンは、住宅ローン以外では期待できないです。

なぜ某サイトで6年目に売却する前提になっているか、分かるでしょうか?
年々のCFの減少に、負の複利効果が働くからです。
また購入した物件が、初期投資額で売れるのも、なるべく早い方がいいからです。

これこそローコストのインデックスファンドに、投資した方が良くないですか?
不動産会社のセールスマンの持ってくる案件を鵜呑みにするのではなく、世間相場の数値を用いて簡単に電卓を叩けば、簡単に答えは分かります。

私ならワンルーム・マンションの投資は絶対しません!

子供にIRRを教えるなら

ファイナンス理論ではなく

私の実感なのですが、今までIRRが何かをまともに説明できたコンサルタントは、ほとんどいないのです。
かく言う私も、仕事でご一緒させていただいた公認会計士の先生から、学ばせていただきました。

ほとんどの人は架空の事例をもとに、ファイナンス理論に従って計算するだけです。なので、ファイナンス理論を学んでいても、IRRが何に役立つのかほとんど理解していません。

したがって子供に小難しい話をしても、相当ハードルが高いと思います。

世間相場と比較する

投資の目を養うには、世間相場を学ぶことが近道です。ワンルーム・マンションの事例でも同じです。
世間相場は投資判断に役立ちますし、他と比較することはとても大事です。

また子供の投資教育で、世間相場の理解とそれをもとにした投資判断を教えることは、騙されないための第一歩だと思います。

一つひとつの条件を精査する力を身につける

今回取り上げた不動産物件の事例でも言えることですが、一つひとつの条件について、疑問を持ち本当に正しいのか、じっくり考えることが投資判断では、とても大事です。

投資は自己責任と言いますが、大事なのは過程です。やることをやった結果であればあきらめもつくでのしょうが、やることをやらずして結果に対して不満を言うのはおかしいです。

疑問を解消するまで投資をしない、納得するまで投資をしない、子供にはこのようなことを教える必要があると思います。

以上、今回はここまで。次回またよろしくお願いいたします。

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